Vol.13 たのしいから、続いてる with 塩川いづみさん

みなさま いかがお過ごしでしょうか。
今年は暖冬で、本当にあったかい日が多かったです。

さてさて、前回は前田ひさえちゃんが登場してくれて、その前はmemeのメンバーみんなが出てくれて、続いては、今回もうお察しがつくと思いますが、塩川いづみちゃんの登場です。
収録時のおしゃべりの中では個展の情報がなかったのですが、今年の夏頃、都内で展示が決定したそうです。
こちらも塩川さんのインスタなどをチェックしてみてください!

普段見えない、いづみちゃんの奥にある魅力の部分、聞けたらな〜と思って質問してみました。
絵に対する気持ちとか幼少期のちょっとした話とか、育児のことから見える社会などをお伺いしました。
それでは、どうぞお聞きください。

ちか

今日のゲスト、塩川いづみさんです。よろしくお願いします。

いづみ

よろしくお願いします。

ちか

いづみちゃん、久しぶりだね。

いづみ

会ってはいるような気もするけど、間が空くよね。

ちか

ゆっくり話せたのすっごい久しぶり。

いづみ

うん、いつも大所帯(笑)。

線画が楽しくて、いまだに楽しくて

ちか

ご存知の方もいらっしゃると思うんですけれども、ご存じない方のために分かりやすく自己紹介をしていただけますか。

いづみ

イラストレーターの仕事をしている、塩川いづみです。

ちか

なんか考えれば考えるほど分からないと思うんだけど、最近画廊をやってる方がちょうど「塩川さんの絵ってイラストでもイラストとかじゃなくて、もう絵画といえば絵だね」っておっしゃってる方もいて。
イラストレーターって、いづみちゃんが感じる解釈する中でどういうものですか?

いづみ

イラストレーションは、受け手がいて受注されて、相手の方の要望に返すお仕事だと思っていて。
でも私が絵として展示をしたりもするので、そういう時は自分の中の表現を出しているっていう感じで、何を受けて描いてるかが違うかなと思って。

ちか

もういづみちゃんの絵って、いづみちゃんの絵っていうのがすごく分かるじゃない。
それができた時っていつぐらいなの?

いづみ

私は大学時代、ブルーマークっていうデザイン事務所にお手伝いに行っていて、その時に描いてた絵を見てくれた時に仕事を1つ振っていただいて。

ちか

そこからなんだ〜。 でもその時にはもう、絵は結構今の感じになってたの?

いづみ

まだなっていなくて、その仕事を受けるにあたっていろんな感じで絵を描いて、そこで線画の感じが良さそうっていうことになって、それが世の中に出た時にその流れでその絵を依頼してくれる方がいて。
っていう風に実践というか、仕事をしながらそれの頻度が高くなってたというか、線画描く機会が増えて。
自分でもその描き方が楽しくて、いまだに楽しくて、続いてるっていう感じで。
だから自分の個性として絵の具を使ったりはあんまりしないから、今は絵を描く仕事が線画中心だけど、ちょこちょこ色を使ったり少しずつタッチを変えたりもしてるけど、今までそういう感じで来たかな。

自分のための創作をしたい

ちか

いづみちゃん、ずっと好きな画家とかいる?

いづみ

好きな画家いるよ、いっぱいいる!
最近やっと子供2人連れて家族で車で行って、マティスホックニーを見て、本当に4年ぶりぐらいに美術館に行った感じで、受け止めきれなかったけど楽しかった、あの感じが。
ホックニーもマティスも好きだし。

表現することをやめていないけど、自分も。
だけど、ああいう絵の力とかを浴びて帰ってくると、もっと頑張ろうってなる。

ちか

やっぱり展示行くと、いいよね。

いづみ

いい!

ちか

どんな画家であれ、何か受けるものがあるよね。
好みとかでなくても習得が何かしらあるから、絵って面白いなと思う。

いづみ

そこで描いてる方が命を燃やしたというか、そのパワーみたいなものを感じるじゃん。
そういうのに刺激を受けるよね。

ちか

いづみちゃん、これからこうしたいみたいなのあるの?
仕事でとか、自分の人生っていうか。

いづみ

ここ4年くらいは子育てに追われていて、今もその渦中だから、すごく走りながら仕事したり絵を描いたりしてて、走りながらって気持ちがね。
でももっとちゃんと1つ1つ深いところまでしっかり描きたくて、だから時間の使い方だったり精度を上げたいなと思っていて。

できる限りのことをしていつも仕事の絵を描いているけど、もう少し体力が戻ったり時間が戻ってきたら、挑戦していきたい。
もう少し幅を広くというか、自分の描けるタッチだったり選択肢だったりを広げるようなチャレンジをその都度したいし、自分のための創作をしたい。

ちか

時間が戻ったらとか体力が戻ったらって今言ったけど、逆にすごい今鍛えられてない?
すっごい集中力上がったり濃度が上がるっていうか、もうかける時間がすっごい短いから、そのためにその時間捻出してその一瞬でガッと。

これから多分年も取るし体力もだんだん衰えていくから、やっぱり90歳ぐらいになってもほんとに筆一つでいい線描けるとか、そういう風になりたいよね。
その比例していくものと半比例に、自分を違う次元に持っていって高められたらね。

自分で自分を模倣しちゃいけない

いづみ

今、保険って言うと変だけど、自分の中で自分を信用してる保険みたいな、なんて言ったらいいんだろう。
こういう風に描くには自分はこうできてたみたいな、今までの経験の保険みたいなものから描いてるとこがあって。うまく言えないね。

ちか

でもなんとなく伝わる。

いづみ

自分も初めて描いてみた!みたいなものに、なかなか出会う余裕がないじゃん。
でも、そういうのって飽きたら尽きちゃうじゃん。

ちか

でも同じようで同じじゃないとか、私ね思ったの。
前、いづみちゃんが「自分で自分を模倣しちゃいけない」って言ってた言葉があって、それすごくいい言葉だなと思ったんだけど。

またお茶の話になるんだけど、お茶って利休が作ったお茶碗。
「写し」ってコピーなんだよね。
コピーっていうと安っぽいんだけれども、「写す」っていうことの感じで。
その言葉も、それのある意味みたいなのがあったりもして、最近それが発見だったの。

模写っていうことでもないんだけれども、そのお茶碗の写しとはまた別なんだけれども、もう1回自分をなぞることで見えてくるものとかがあるのかもって、ちょっと新しい発見だったの。
私も、どんどん自分を感動させなきゃ、どんどん自分が見たことない絵を描かなきゃとか、自分をどんどん広げていくためにも。

私も時々依頼されて描く絵っていうのがあるんだけど、きっとこの人は今まで私の見たから依頼してくださって、そのイメージに近づけて、こっちよりはこっちだろうなとかやっぱあるんだよね。
全然違う絵とこの人が好きだろうなっていう絵と2つ持ってって、やっぱこっちが選ばれるとかも多々あって。
でもそれがどうこうっていうわけではないんだけど、やっぱり自分の中の自分を描かなきゃいけないって、自分でそれも思い込んでるんだけれども。
でもそれもやっぱ違うんだなって、描くたびに思ったりもして。

同じに描けないから、前の絵を大事に思えた

いづみ

私そう言いながらも、おととし作品集を出した時に、その時ちょうど出産前でなかなか身動きも取れないけど、刊行記念の展示がもう決まっていて。
で、作品を展示するってなった時に、あえて過去の自分の絵の写しをやったんだよね、nidiでやった時の展示ね。
その時に模倣じゃなくて刷新するっていうの?
自分の絵を更新するみたいな、モチーフは一緒で。

ちか

あれ全部新しく描いたの?
それちょっと分かってなかったかも、私。

いづみ

うん、全部新しく描いたの。
だから自分の作品集にその作品たちが入ってる、ちゃんと。
だけど展示してるのは、その作品をモチーフに更新して描いたっていうか、そうしてたの。

ちか

あのお子さんの手だけかと思ってた、新しい新作が。
そうだったんだ〜!

いづみ

そう、全部描き下ろしてて。
でも確かにその時に、ちかちゃんが今言ってたように気付きが結構あった。

ちか

だから二度と同じ線って描けないよね。

いづみ

うん、描けない。
描けないから前の絵とかを大事に思えたし、新たに描くのも楽しかった。
一緒になんないなって、一緒になんないけど、今だったらここで止めるかなとか思って。
自分が描いたものだけど全然知らない人が描いたような感じになるのもあったし、ちょっと面白かった。

それはそういうコンセプトだったから、作品展の展示のポスターを自分で自作するみたいなテーマで、自分で描いた作品集のためのポスターの展示みたいにして、だから敢えてやったコンセプトだったけど、面白かった。

ちか

ご覧になってない方もいらっしゃるかもなので、そのタイトルと出版社名を教えてもらっていいですか?

いづみ

PEN, PENCIL, PEOPLE, ANIMALS AND PLANTS」っていう塩川いづみ作品集。

ちか

どちらから?出版社は。

いづみ

玄光社です。

ちか

Amazonとかでも買えるのかな。

いづみ

Amazonで買えます。

ちか

皆様ぜひ。

いづみちゃんの絵って、やっぱりすごくスタイリッシュとかいう括りで捉えられたりすることもあるんじゃないかな、なんて勝手に思うんだけど、「和」でもあるんじゃないかなって思っていて。
私の場合、用途的に傘のためにテキスタイルのために、例えばA4の画用紙があったらそこに埋めるんだよね、柄を全部埋める。
それって洋画で、油絵とかって全部余白がないじゃない、キャンバスの上に。

でも、いづみちゃんって余白があるじゃん。
余白が結構な意味を出してるじゃない?いづみちゃんって。私は感じるんだけど。
それってやっぱ「和」じゃないかなと思ってて。
「書(しょ)」とかにしても、余白でいかに語ってるかみたいな。

だから一見すごくスタイリッシュな現代的なものにも感じるんだけど、見方を変えれば「和」でもあるんじゃないかなって、余白っていう意味でね。
っていうのを今日車で来る時にぼんやり思ったりした。

いづみ

「和」「洋」はそんなに、そうだね。
でも「書」っぽいなって思う時はある。

ちか

あと、いづみちゃんの存在がそのまま絵みたいな気もする。

いづみ

余白がいっぱいある?

ちか

ううん、そうじゃなくて雰囲気の話かな。
絵から受ける印象と、いづみちゃん本人と会う印象が重なるっていうか。
そんな気がするよ。

いづみ

そうだね。そうかもね。そうかな。
でもちかちゃんの絵は、ちかちゃんっぽいなって思うしね。

ちか

恥ずかしいけどね。

展示の絵はいつも裸になってる感じ

ちか

だから傘を初めて作って、5本ぐらい作って人に見せに行った時、恥ずかしくてたまらなくて自分の裸を見られてるようで、顔が真っ赤になった、最初。

いづみ

分かる〜。
イラストはそうなんなくなってきた。

ちか

でも慣れじゃない?
だんだん私ももう傘見られても、もう全然(笑)。

いづみ

裸見られても大丈夫でしょ(笑)。

いや、でもイラストの仕事は大丈夫なの。
自分とちょっと離れてるから。
でも毎回展覧会をして絵の展示する時は、いつも本当にお腹痛くなる感じがする。
すごいものを見せてしまっているような気がする、みたいな。

ちか

あと、責任も100%自分だもんね。
依頼された人と一緒に、コンセプトがあって表現する場所も用意されていて出すわけだから、分散されるっていうか。

いづみ

頼まれたものがこうかなっていうね。
だから、展示の絵はいつも裸になってる感じがして、ちかちゃんが言った感じだよ。

ちか

いづみちゃんも展示前、本当にストイックにやるよね、徹底的に調べたり。
見えない、絵に出せてないその後ろのことを、すごいやるよなって私は思ったよ。
そこがすごいなと思って。

いづみ

あ、ほんと?
自分の絵が人前に出るのを、そういうところの自分の重ねてきたというか、そこに行くまでのプロセスみたいなものを、勇気みたいにしてんのかな。

ちか

謙虚さもあるけど、やっぱり仕事に対するプロ意識がすごい高いなって思う。
みんなそうなのかもしれないけど、そばで見ててそれはいつもすごいなって尊敬してますよ。

いづみ

ありがとうございます。

ちか

苦しんで、でもそれを出さないじゃない?あなたは(笑)。
私は出しまくるじゃん、もう泣いたりしてさらけ出してる感じがすごくするけど。
いづみちゃんってプライベートはあまり明かさないし。
私って変に出ちゃうんだよね。

いづみ

それはちかちゃんのいいところで、私はうまく出せないから。
そういうところを意識して出さないわけじゃないんだけど、そんなの見たい人いない、そんなのすいませんって思っちゃって。

ちか

結構その辺は対照的だよね。描くものも対照的だしね。

子供時代から変わらずマイペース

ちか

ひさえちゃんから質問が届いております。
読んでいい?

いづみ

はい!

ちか

いづみちゃんはストイックで静かで洗練されていて、でも時々あれ?っておかしさがあったりして、いづみちゃんの絵は、いづみちゃんの生き方そのものだなといつも思っています。
それからなんとなく長野って風土も感じて、根を張ってるような強さも感じます。
根っこがない私にはそこが憧れ。
私も死ぬまでに自分が見えるような絵が描きたいなぁとよく考えます。

子供時代はどんな子供でしたか?
子供時代の幸福な時間があったら教えてください。

いづみ

はい!

ちか

今なんか子供時代にすごい興味あるって言ってた。

いづみ

子育て中だしね。
子供時代は結構いつも「いづみさん、マイペースです」って通知表に書かれたりしてたから、割と自分の世界のほうが強めだったかな?と思う。
小学校の頃とか、校舎裏の苔とか見てたら放課後になってたりとか、そんな感じだったかな。

ちか

でも今もそういう節あるよね、いづみちゃん。

いづみ

変わらないかもね。

ちか

ね、結構マイペースだもんね。

いづみ

うん、それが自分にとってはコンプレックスでもあるけど。

ちか

そうなの?すごいいいことじゃない。

いづみ

つい時間忘れちゃうとか、やっぱお仕事してるといけないなって思うし。
人との繋がりとかでも、時間にルーズになっちゃいけないなって思うんだけど、ついつい。

そう、動物もいっぱいいて、犬とかアヒルとか亀と九官鳥とかウサギとかリスとか。

ちか

すごいよね。

いづみ

そういう中で暮らしてたのが楽しかったかな。

ちか

よくアヒルの話してくれたの思い出した、今。

いづみ

アヒルは結構犬みたいに飼ってると慣れてくるし、身近にいて割とインパクトがある子だったから面白かったかな。
お父さんがすごく生き物も好きだったし。
すごい穏やかで優しい父だったけど、魚飼うのがすごく趣味で、家中に熱帯魚の大きな水槽があってそれを毎週水を変えるんだけど、そういうのを見てるのが楽しかったし、幸せな時間だったような気がする。

ちか

そうなんだ〜。

頑張って生きてることが長所

ちか

ひさえちゃんからもう1つ質問で。

自分の核になっていると思う言葉や風景、考えなどありますか?
それから、自分の好きなところと嫌いなところは何ですか?
聞いてみたいです。

いづみ

嫌いなところは、さっき言ったちょっと時間配分が下手っていうか、時間にルーズになりがちなところかな。毎日反省してる。
もう絶対自分が見込んだ時間じゃないな、2倍どころか3倍かかるなって思っててもできない。

ちか

でも、せっかちより良くない?
せっかちよりもいい気がするけど。

いづみ

そうだね、その時によるね…。

大事にしてるのは、今を悔いなく精一杯生きるみたいなこと かな。
父が、私が30の時に他界して、変わらないと思ってたことも簡単に変わってしまうことがあるんだなと思った時から、割と強く意識してるかもしれないんだけど。
出会いも、こういう何か人とやることも、この場がすごい貴重だしありがたいなって思うのは、それが2回あるか分からないからその時その時が大事って思うし、子育てしてても「今って今しかないんだな」って思う。
そういうこと、大事にしてるかな。

ちか

長所は?

いづみ

長所あるかな〜。
長所は、頑張る(笑)。

ちか

頑張り屋さんだよね、いづみちゃん。

いづみ

やるってなったら、もうちゃんとやろうって思うけど。
難しいね、長所って。

ちか

大人になって、自分のこと褒めれないよね。
良くないよね、あんまりそれ。
私もこの質問にすっごい考えてしまって、大人ってなんか上手に自分のこと褒めれないって思っていた。

いづみ

ね、頑張って生きてることが長所かな(笑)。

ちか

いや、そう、十分だよ、十分ですよ。

いづみ

ね、なんとか生きてるかな。

育児は生き直している修行みたい

ちか

1ヶ月ぐらい前なにげなく電話で話してて、いづみちゃん今すごいいい言葉言ったなって言葉が「育児は生き直している修行みたい」って言ってて。

いづみ

今の生活というか、今の状況でね。

ちか

なんかいい言葉だなと思って。
でもまさにほんと修行だと思うんだけれども、それってどんな感じ?

いづみ

今、本当にちっちゃい子たち1歳と3歳がいるから、本当にしっちゃかめっちゃかなんだけど。
でもそういう子たちがいることで、社会との関わりとか変わってくるところが、自分が苦手だったこととかも再度向き合わなきゃいけないし、そういうところで生き直してるっていう感じがするかな。
責任とか、また0からいろんな関係を作るとか、未来のこととか、政治とか経済もそうだし、もっと言ったら人権とかジェンダーとかそういうものも含めて、またひとごとじゃなくなっちゃって。

自分が1人で自由に生きてられる時は、もう本当にただ仕事がうまく納品できれば後のことは誰にも文句言われないというか、自由にお金を使って。
本当に仕事のためには、ご飯食べる時間も削ったり睡眠削ったりしても良くて、 自由だけど刹那的に生きてる感じだったけど、子供がいるとそうもいかなくて、関わらなくて良かったことをもう1回やっていくっていう修行に感じる。
また人生始まっちゃった!と思って(笑)。

でもやっぱり子供が生まれるといい面ももちろんあるし、初めてっていうことで言うともう1個見るというか、柔らかい子供の目とかで感じる世界を自分も一緒に感じさせてもらうっていうのがあって。
全部知ったような気になってるようなことも新発見があるし、そういうのが楽しいかな。
豊かな感受性みたいなものに刺激されてる部分もある、ものづくりで。

仕事の絵も、個展の絵も、それぞれ楽しい

ちか

来年は個展とかあるの?個展の予定とか。

いづみ

うーーーん、自分もちょっと今もう時間をうまく使えてないというか。
なかなか難しいね、制作に没頭する気持ちの時間もなくて。
(収録後に、夏に都内での展示が決定したそうです!)

どうですか、ちかちゃんは?

ちか

1ついただいてる展示があって、どんなことしようかな?っていうのを福岡のキュレーターの方なんだけど、文通してる。
文通という形をとってみて、満月に向けて毎月やり取りしてて、すごい楽しい。

いづみ

いいねいいね、楽しみ。
何回かそのやり取りが続いた後に展示になるんだね。

ちか

そう、でも作品のことを話してるわけじゃなくて、結構自分たちの日々の気になった言葉とか詩を交換してる形かな。
お互い2冊のノートを行ったり来たり、福岡と長崎で行ったり来たりさせてて。
だからどういう展示になるかは、もう全然全く今見えてない。
そんな感じですね。

いづみ

いいね。
また仕事の絵と違うじゃん、個展の絵って。

ちか

そうだよね。

いづみ

仕事はチームっていう感じで、みんなとやり取りするのが私はすごく燃えるというか、みんなでいいもの作るっていうことにゴールがあって、そこにいくみたいなのが楽しくて。
でも個展は自分に潜っていくというか、潜って潜って探し始める時間が、取り決めたところから始まってくから楽しいよね。

ちか

そうだね。
意外と描かない時間の方がすごい大事だったり、大半を占めてたりとか。
そこが見えると早いんだけど、見えないと手の動かしようがないもんね。

いづみ

見えてない部分にすごい大事なことがあるなって思う。

ちか

うん。

ちかちゃんは会うたびに、何かに熱愛を注いでる

いづみ

仕事だともうリミットがあって、あれこれをいつまでに出して、ラフいつまでに、本番いつまでに、ってなるから。
改めて時間をかけるっていうことの大事さも最近感じるから、そういうことに時間使える時は豊かに使えそうという気がする。

ちか

贅沢だよね。
そういう時間が持てるっていうことが贅沢だなって思って、この1年結構それを大事にしようと思ってやってきたら、なんかすごい遊んじゃって。

最近ほんとにお茶に夢中で!

いづみ

いいじゃん!それはもう一生かけても極められないというか。

ちか

そうなのよ!終わりがない。

いづみ

長ーい長いスパンでやっていけること、いいよね。

ちか

そうなんですよ。
だからもうちょっと仕事しないとなと思うんだけど、もうお茶に夢中になっちゃって。

いづみ

それの繋がりでね、お仕事に。

ちか

いや、だから炭作ろうかなとか思ったりして。

いづみ

炭?!どういうこと?(笑)

ちか

お茶って、炭手前っていうお茶を沸かすための炭。
しかもクヌギが結構上等って言われてるみたいで、 そういうお茶に従事した、自然に従事した仕事したいなとかも思ってきてしまってね。

いづみ

そこで炭っていうとこがまた、ちかちゃん。

ちか

いや、だってうちの場所だったらあるじゃない?
炭を作る窯を作って、あとクヌギの木とかいっぱい生えてるから。
利休が映画で、この炭の寸法まで決まってんの。すごくない?!
炭の種類も決まってるし、その炭をくべる順番も決まってるし。

いづみ

へー、かっこいい。

ちか

利休がノコギリでギーコギーコするシーンがあって、 うわー炭まで作るんかいって思って、ちょっとそういうことに燃えるんだよね、今。
灰も作るんですよ!灰!

いづみ

極めてるね〜。

ちか

灰の話もすごい面白いんだけど、「炭」と「灰」って山があるのとないので、灰は「山」がないじゃん、漢字で。
その灰もお手前で使うの。
濡れ灰とか、灰も作ってくの。
しかもお茶の茶汁で灰を染めて、それをすり鉢で擦って、春から夏で1回お水につけて乾かしたりして。
そういう一連の、、、もうドキドキしちゃうのよね。

いづみ

楽しいね。

ちか

もう私、炭とか灰を売る仕事しようかなとか思ったりして。

いづみ

(笑)

ちか

いや、本気で思ってるのよ。
炭の職人弟子入りしようかなとかね。

いづみ

すごい、ついこの間まではその話してなかったから。
そうやってまたどんどん、ちかちゃんの興味が増えていくと思う。

ちか

忙しいですね、私、なんか会うたびに。

いづみ

新鮮だよ、新鮮。
ちかちゃんは会うたびに新鮮で、何かにこう熱愛を注いでるよ。

マッスルいづみ

ちか

いづみちゃん、最近ないの?
私だけの、ちょっと来たー!みたいなやつ。

いづみ

来た!っていうの?!来てないね。
あ、でも私、ちょっと筋肉つけにジムに行こうかなって思い始めてる。

ちか

あ、本当?

いづみ

今はピラティスは行ってるけど、信頼できるのは筋肉なんじゃないかみたいな。
筋肉つけたいなと思ってる。

ちか

いいね、最後の締め「信頼できるのは筋肉」。
いいわ〜。

いづみ

自分の身体一つでね。

ちか

しなやかさ大事。

いづみ

そう、なんかそういうこと思う。
それが気持ちの強さにもなる気がするし。

ちか

マッスルいづみ。

いづみ

うん、そう、ムキッとする(笑)。

ちか

じゃ今度腹筋触らしてね。楽しみにしてる(笑)。

いづみ

夏とかね、すごい短いの履いてくるわ。お腹ペラって見せて(笑)。

ちか

あー、おかしい。
いや、良かった良かった、笑えて、今日も。

いづみ

うん、笑いながら生きましょう。

ちか

そうね、ほんとだよね、いろいろあるけど、大変なことあるけど。

いづみ

ね。

ちか

ありがとうございました。

いづみ

はい、ありがとうございました。

ちか

本日のゲストは、塩川いづみさんでした。

いづみ

ありがとうございました。

塩川 いづみ(しおかわ・いづみ)

イラストレーター。長野県生まれ。
2006年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
広告、書籍、雑誌、プロダクトのイラストレーションを中心に活動するほか、作品の展示発表も行う。
対象の内面や背景に思いを巡らせて描かれる率直な表現が、幅広く好まれている。

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