Vol.21 10日間限定オープンした対話のためのお店『LISTEN』 with 山口市の仲間たち

皆さま、大変ご無沙汰しております。
5ヶ月ぶりの収録になってしまいました。

何をしてたかな?と振り返ると、夏休みはなんだか子供たちのお世話でちょっと忙しかったりでした。
あとお仕事はありがたいことで、いただいた絵のお仕事とかしていたり、まだ報告できてないプロジェクトも密かに水面下で進行していることがあったりとか、地味に動いておりまして。

でもとにかく、自分の日常の中の余白みたいなものを守りたいという自分もおりまして、あんまり根詰めず少しラジオから遠のいていました。

今回のエピソードは『架空の学校 アルスコーレ』についてお話ししたいと思っています。
山口県山口市にある山口情報芸術センターという、通称『ワイカム』って呼ばれていて『YCAM』ですね。
美術館という機能もありつつラボもあったり、 あと私立図書館が併設されててその中には映画館もあって、いい映画ばっかり上映するんですよね。
演劇ホールとかもあったりちょっと実験的なプログラムをやられてたりとか、本当に素晴らしい施設があって、もう20年なんですって。

そのワイカムさんの事業の一環で、山口の商店街で山口市の皆さんとともに何かをしてほしいという、ざっくりとそういうご依頼をいただきまして、春ぐらいからずっとプロジェクトが動いていたという感じです。
何をしたかなのですけれども、まず私が3つキーワードを挙げさせていただいて、それが『生活』『芸術』『平和』。
そのキーワードを頼りに参加者の方と対話をしたり、ゲストをお呼びしてお話を聞いたり、みんなで絵を観に行ったりする日もありました。

『生活芸術』っていうところに、私がなんだか惹かれているんですね。
それはきっと人間のあり方とか、自然とか平和な世界につながるたくさんの要素が潜んでいるだろうという、希望みたいなのを勝手に感じておりまして。
それをテーマに挙げつつ、何かを作る時にまず観察する、感じるっていうところから、視覚ではなくて空間まで捉えるようなとか。
『HEAR』って耳で聞くだけじゃなくて心を開いて感じ取るような行為として、『LISTEN』っていうのはそういう働きがあるように思って活動名にしました。

そしてもう1つは対話を重視したいなと思っていて、何気ない話をいっぱいしたいなと思っていて。
今、SNSでいいねをもらうために「なんかいいこと言わなきゃ」「きれいなこととか言わなきゃ」とか「ちょっと注目されるようなビジュアルを作らなきゃ」とか。
そういうのではないそこまで言うほどのことでもないような、自分の中でいつもぼんやり眺めているような景色を共有してみようとか、その時間が作れたら何か産物があるんじゃないかなと思ってやってみたいなと思いました。

やってみてその何気ない話ができたことが、自分へのケアの効果も感じられるというか、そこから優しい時間がなんか流れ始めるんですね。このみんなと一緒にいる時間の中で。
日々なんとなく気に留めた日常の出来事から、それぞれの 視点を交換することで何か確かめ合ったり、再発見をしたり、新しく知ることにつながったり、他者と自分を行き来しながら 歩んでいたような数ヶ月間でした。

そのなんだか言葉にできない、無限の完結することのない形のないものを、どうにか他者に伝える方法として今回は10日間限定のお店ということをしよう。商店街っていうのもあるし、お店というメディウムで表現しようという試みをみんなでやってみました。

馳せる思いは壮大で、結局アイデアは出るけどやりきれないこととか、こぼれ落ちることもたくさんあったんだけれども、なんとかオープンができました。
皆さまの本当にお力でできました。

今日はまずどんなお店になったのかとか、どんなものが売られていてどうしてそういうものを作ったかっていうところを、参加者の皆さんにお聴きして収録させてもらうことができたので。
録音環境がちょっと整ってなかったので聴きづらさもあるんですけれども、ぜひ聴いてみてください。

みんなが惹かれた、山口弁の『しご』という言葉

ちか

完成してみての感想でもいいですし、どんなことを今回したかとか、印象に残ったこととか、何かあれば教えてもらっていいですか?

参加者A

本当に最初何をするのかなってのが全然分からず(笑)、それもおもしろくワクワクしながら。
みんなで最後何かを作るのか何かをみんなで感じ取って持って帰るのか、自分の中ですごく少しなことでもいいからきっと変化があるんだろうな、みたいな予感があって参加したところがあって。
実際、会に参加して、対話した時間がすごく私は印象に残っていて、肩肘張らずに肩書きを1回自分の中でもなんかなくして、個人としてこう思うなみたいな。

参加者B

冬に向けて何をしたらいいんだろう、大丈夫かな、ドキドキっていう時間がすごく長かったです。
結構みんなでオンラインでお話する機会が設けられて、やりたいことが決まってる人は何人かいてくれたのでその方々の話を聞きながら、じゃあ自分もたわしを作ってみたいなと思ってスタートができたかなっていう感じがします。
そのたわしを作りたいっていう動機の部分に、確かに振り返ってみると、夏にした平和の話だとかみんながどういうことに関心があるかっていうことをここ2ヶ月ぐらい話してきたことが、「あ、確かに生きてる」と思って。

参加者C

このLISTENコースに入って、初めて自分のことをちゃんと掘り下げて喋ったりとか、喋りきれてないところもあるかもしれないんですけど、伝えることの大事さみたいなのをすごいひしひしと感じていて。
あと皆さんの熱量とかもすごくいいなって感じるものも多くって。
私はお店にかかってるBGMというか選曲ができたらいいなと思ってて、来た人にちょっとほんわかした気持ちになってもらえたらいいなっていう、すごくその気持ちを込めつつ選曲しつつっていう感じで、それもおもしろかったですね。

参加者D

作ったのが気に入ってもらえたり「いいね、かわいいね」とか言ってもらえたり実際に買ってもらったりすると、役に立ってることあるなと思って、またちょっと人気のあるデザインの分もまた作ってみたりとか、ちょっと今そういう方向に流れていて。 とにかく作ることが大好きなので作ること自体が私が楽しくて、 今、ルンルンで過ごしてる感じです。
そこら辺になるとコンセプトとか関係なく、私が楽しいからやりたいみたいな感じで作ってるところはあると思います。

参加者E

やっぱり形を何かしらアウトプットとして成立するものとして出すっていうのは、すごく難しいんだろうな。
しかもそこそこにクオリティも担保しつつ、全体的なコンセプトみたいなものを考えて、こうやって1つの表現した形としてこの場を作ったっていうこと自体が、すごく価値のあることだなと思いますし。
来てみて「わ!」っていう感じがこの空間にあるっていうのが、それぞれの皆さんの想いであったりとかがうまく表現できてこういう形になったのかなっていうのが、やっぱりすごいですよね。

参加者F

みんなでお話してる時に、山口弁の『しご』っていう言葉が出てきて。
『しご』っていうのは仕事のための下準備で、ちょっと手のかかるようなことをやるっていう意味合いらしいんですけど。 私、山口県に生まれ育ったけど、あまりその言葉に馴染みがなくて。
何かその言葉がみんなの中で引っかかる部分があったので、チームですごいその『しご』について喋ってる時間があって。

その話を経て手しごとについて考えた後に、自分がものを作るときに「あ、これは『しご』かもしれない」とか、自分がやっている作業の中のちょっとめんどくさいなって思うことなんだけど、その中にすごくおもしろさがあるんだなっていうのを、今回手しごとに興味関心があるメンバーで集まってチーム作ってやってた時にすごく思って。

ちか

なんかそこが最後の方ですごい重要なキーワードとして出てきたんですよね。
鱗を取ったり、そういう地道な下ごしらえみたいなことかな。

参加者F

加工されたものを 買う方が効率がいいし、正義と思ってたんだけど、でもその『しご』自体が好きっていう人がいるっていうお話を聞いて。
「そっか、お金と引き換えに私たちはこのおもしろみを手放しちゃってるんだ」っていうのが、すごく衝撃的な気付きだったっていうのが、今回このコースに参加して良かったなって思いました。

参加者G

お店っていう形がすっごい不安で、実は。
どこでどう自分の今までのことを、表現というか形にするかって結構悩んで。

でもみんなで集まって話した時に『しご』っていう言葉が出て、 あとちかさんの「お店になる前と後もあるんだ」っていう話がすごい印象的だったんですよ。
それがずっと頭にあって、『しご』っていうキーワードでたわし作ったり置いたり収録したりしたんですけど、やりながら思ったのが、私にとっての『しご』は『対話』だったなって。
お店になる前のこの数ヶ月の『対話』が、私にとっては『しご』だったなと思って。
それをじゃあどう形にするかっていった時に、種と誰かの話を交換っていう形だったんですよね。

アルスコーレに参加するっていうことが、結構自分の中で大きなことで結構そわそわしてたんですけど、実はお店になった後に冷静に見たら、特別なものというか生活の延長線上にアルスコーレがあったな、みたいなそういう感じでしたね。

値段をそもそもつけていいのだろうか

ちか

これはなんですか?

参加者G

これはミツロウで作ったろうそくです。
子供が小学生の時にある造形教室で、毎年12月になるとミツロウろうそくを作っていました。
その写真を見た時に、順番を待っている子たちがお互いのろうそくを比べたり太くなるのを触ったり、そうして順番を待っている表情がとても素敵で。
そのことを思い出して、自分のろうそくが太っていくのを待つ時間を楽しめるようなことができたらいいなって。

一緒にミツロウを取り出すことも1回だけやったことがあって。
その時のその火を燃やしてその中で巣からどんどんどんどん、そのミツバチが生活したカスなんだけれど、跡がアクになって出てきて。
できたミツロウろうそくはつるっとして黄色いきれいなものなんだけれど、それができるまでの間にミツバチが生活した跡があって、ドロドロのものがあって、煮出す時に結構匂いもして。
そういうものがこういうろうそくになるっていうところに、私はちょっと惹かれるものを感じるんですね。

ちか

もらってきた大事なものをお渡しする時に、値段をそもそもつけていいのだろうかとか、いくらにするとかもすごく考えてらして。

参加者G

自分が作ったものに値段をつけるって、自分が何かしていることの評価をどう人にしてもらいたいかっていうことと繋がるのかなと思った時に、私はどのくらい自分のことを大事にしてるのかなって。
私はこれだけ自分のことを大事にしてもらいたい、でも買ってくれる人には無理のない範囲で買ってほしい。
その間みたいなものをどれだけ自分に引き寄せるか、相手の方にまた引っ張られるかっていう、そのせめぎ合いの間に値段があるのかなって。

子供の頃の記憶にある音楽を集めて

ちか

これはどんなことをされているのでしょうか?

参加者A

今回やったのは「あなたが子供の頃に身近な人から歌ってもらった歌をLISTENさせてください」。
カセットテープに歌を集めようと思って、1本のミックステープを作ってます。
やってみたら、子守歌よりも広い昔の記憶にある音楽を集めてるみたいな。

今回このアルスコーレのLISTENコースに参加して、ちかさんと一緒に『生活』と『芸術』と『平和』について考える機会をもらって、この半年くらい私の中でぼんやり考えて。
今、小さい子供と暮らしてるので子供の頃の歌を身近に使っていて、子供に言葉で言うより歌で言う方が伝わるみたいな経験があったりして。
でもこれみんな子供だったから、みんなその頃を思い出すっていうのが『生活』と『芸術』と『平和』ついて考える時間になるんじゃないかと。

この本が私の本棚に入ることで勇気をもらう

参加者H

私は今回、LISTENでみんなと話してきたこととか心に残ってる言葉から、3冊の本をセレクトしました。

印象に残った言葉がいくつかあって、1つは被爆者の方の体験を聴き取っている時に「その体験を話してくれた人の話したことが、意味のあることになる実感を持てるように意識してる」っていうその言葉とがすごく印象に残ってて。
『対話』って、自分が粗野に扱われなかったっていうのってすごく嬉しいというか、やっぱりそうやって言葉を受け止めてもらえるってすごいことだなと思って。

あともう1つは『平和』っていうものをみんなと話してる時に、「平和ってやっぱり人によって平和との距離感が違うよね」っていう話もすごく印象に残っていて。
世界の平和を考えるときと、個人、自分の心の中の平和を考えるっていう。

あともう1つは、話すことで人を『知る』っていうことのおもしろさだったり、人の話がおもしろいって思うことに気付くおもしろさがすごくLISTENの中であって。
なので、自分の中でキーワードとして『対話』と『平和』と『知る』っていうことから、3冊セレクトしました。

ちか

まず、この『平和』として選んだ本は?

参加者H

エトセトラブックスっていう出版社から出てる雑誌『エトセトラ』の、VOL.12 最新号『戦争をやめる』っていう特集を置いています。
パレスチナとかウクライナのことであったり、日本の中でもいろんな戦争に近付いていくような不安なこといっぱいあるんですけど、この文言として「戦争をやめる」っていうのがまず私にはグッときたっていうか。
まずこの本が私の本棚に入ることで少し勇気をもらうなって、私は思って。

ちか

2冊目は?

参加者H

これが『会話』をテーマにしていて、『テヘランのすてきな女』っていう金井真紀さんっていう方がその文と絵を描いていて。
金井さんがイランに行って、イランの女性たち、いろんな女性たちと話をして、その人のことをすごく尊重しながら、明るい会話をしていくというか。
すごく皆さんいろんな選択をして大変なんですけど、金井さんの言葉の中でポジティブなところとかもギュッて引き出してもらえると、私も元気になるというか。

ちか

最後、これはもう今売り切れ状態になっておりますが。

参加者H

これは斎藤真理子さんの書かれた『隣の国の人々と出会う――韓国語と日本語のあいだ』っていう、10代以上すべての人に向けた『あいだで考える』っていう人文書シリーズから出てるものです。
今、韓国で起こってることって、私たちがもっと知っていくことで広がることがいっぱいあるなと思っていて。
なんでこの国はこんなに詩が読まれるのかっていうことも、韓国の中で詩っていうのがすごく辛かった軍事政権の時代とかにも、できた反抗というか表明っていうものもあったり。
『知る』っていうことにもう一歩踏み込めるというか、韓国を知るっていうことに踏み込めて、すごく『知る』がおもしろくなるし、もう1歩すごく世界が広がるので。

ちか

さっきおっしゃった印象的だったのが、自分の本棚に入ってるとうれしいっていう、それが私もいいなと思って。

参加者H

本って私のタイミングでいてくれるところがあって。
すごく惹かれた本を買って、その時読まなくても「あ、今読むタイミングだったんだ」って時が絶対来る!絶対来ますよね。

ちか

読みたいなって思っている気持ちだけがそこにいて、視覚には入ってくるんだけど「ちょっと待っててね」みたいな時もあるしね。

毎回すごくあたたかい気持ちになった

参加者J

これはブローチを作っていて、一応おまもりになるように意味を込めて作るっていう風な感じになってます。

ちか

今この場所で ブローチを作っているんですけど、みんなで作った生地を使って、まずこの土台があるところに布を巻いている作業をしながらお手伝いしてて。
これをつける?超速乾性だね。

参加者J

超速乾性で、前回やった時にこのピンと手がくっついちゃって取れなくなって(笑)。

ちか

怖いよね、一生、手とピンと一緒に暮らさなきゃいけないのかってぐらい(笑)。

参加者J

毎回行った後に来て良かったって思ってて、すごくあたたかい気持ちになっていつも帰ってました。

ちか

ほんとー?もう、おばちゃん涙が出ちゃうよ。
なんか自分で思ったことでもいいし、人が言ってた話でもいいんだけど、印象に残ってる出来事とかなんかある?

参加者J

すごい真面目って感じの話じゃないんですけど、最初のこのLISTENコースのお店を開くってなった時に、満場一致で「ちかさん、展示!」みたいな(笑)。

ちか

それおもしろかったね(笑)。

参加者J

あれがおもしろくて(笑)。
確かに聞いた時に「あ!いいじゃん」って思って、結構、私も賛成派でした。

ちか

私自身だから、もうそんなそんなっていう感じなんだけど。
皆さんがね、「何したい?」って言った時に「ひがしちかを展示する!」って、結構「それいいじゃん」みたいになったりしてて(笑)。

皆さん、ありがとうございました。
作業しながらのインタビュー、楽しかったです。
実は、彼女は中学生で最年少の参加者でした。
上は60代ぐらいという幅広い年齢層で、そういう意味でもいいコースだったなと思っています。

続いては、企画側の方とのお話を少し。
素晴らしいスタッフの皆さんでいらして、打ち合わせの時間から毎回濃厚で、打ち合わせの時間もとってもいい時間でした。
私がいろいろ言うよりも、企画側の目的とかスタッフ側の視点からの感想をお聞きください。どうぞ。

毎日がセッション

スタッフA

この半年間の、ゆっくりなインプットがあったじゃないですか。
そのインプットが詰め込みすぎたインプットじゃなくて、ゆっくりなインプットだったってことって結構重要だなって思ってて。
間が空いてるとか、その間に考える時間ができたりとか、次までの時間を待つとか、そういう時間の設計に結果的になったかなと思って。
それが最終的にものを考えるっていう時間ができて、そういうおもしろさがあるなと思って見てました。

ちか

私もどうなるんだろうと思って不安もあったし、最後に形になるまで分からないし、この場に対して反応するだけっていうか、それを信じてきた。
シミュレーションもできないじゃないですか、空間って。
大体の間取りも分かるけど、その時のその場で何が来るのかとか、もうセッションだと思ってました。皆さんと。
どうでした?

スタッフB

本当にセッションっぽかったなってすごい思って。今もそうなんですけど。

ちか

毎日そんな感じしますよね。

スタッフB

だからもうコンセプトをカチッと決めて、そこに向けて着実に1歩ずつっていう本来のお店の作り方とは違う、本当にその場所にあるものとある材料で今できることをしよう、みたいなお話をちかさんが打ち合わせの時に言ってくださって。
そこの覚悟が決まったらもうあとはやる!みたいなそういうお店で、お店と言っていいのか分からないんですけど、ちょっと即興劇に近いような感じがしました。

ちか

これがお芝居ですって言えばお芝居な気もするんですよね、筋書きのない。
これがパフォーマンスですと言えばパフォーマンスな気もするし、展示会場ですって言えば展示会場な気もして。

市の都合でみんなに圧をかけてしまった

スタッフC

みんなで集まって会話をしている時間と、最後にこのお店を作る時間っていうものが、すごくやっぱりギャップがあった。
だからそこをどうみんなとどういう風に自分の中で整理していくのかって、整理できない部分もあるけど。

逆に言うと運営側というか、これを僕はこの市のプロジェクトとしてやっていて最終的には報告する立場にあるので、ある意味みんなの時間を市の事業の都合で結構ギュッと最終的にこういうみんなに伝わる形にしようって言っている側なんです。

だから、結構みんなに圧をかけてしまってるっていう自覚もあるし。
でもそれで「ごめんなさい、やめとけば良かった」って思ってるわけでもないです。
ただ自分たちいい時間過ごしたねで終わるんではなくって、誰かに伝えるチャレンジをしてみてもらいたいなと思って。

ちか

そんなに圧力と思わないでいいよねって聞いてて思ったんですけど。
たぶんこれが、6ヶ月で形にしてくださいっていうのも5年かけて形にしてくださいっていうのも、結構同じプレッシャーだと聞いてて思いましたよ。
だからどこかで1回出してみよう!今の段階を出してみよう!っていうのも、私にとってもすごいいい経験でした。ありがとうございます。

スタッフD

この成果発表、何かしらしなくちゃいけないよねってたぶん夏の段階からおっしゃっていて、それがどうなるかはずっと確かに不安な感じで 頭の片隅にあったんですけど。
お店って方向で決まってやるとは決めたけど、本当にこれがベストな形なのか分からないっていう疑問を常に運営の方もかなり心に留めながら、慎重にやってくださってたなっていう印象があって。

やってることとかってやっぱり本番があるからこそ頑張れるものとか、ここで見せるって決めてるから作り上げられるものがある。
プラス本当にお店でいいのか分からないっていう戸惑いを抱えながらここの日を目指すっていうのが、すごく慎重に進められていいバランスだったなと思っています。
たぶんそこが慎重にならなければ、もうちょっと形だけのお店になったんじゃないかなと思うので。

でもやっぱりお店っていう形のゴール設定があったからこそ、やっぱり出せるように頑張ろう、 期日までに考えようみたいなところがあったので。
事業の構造上こうせざるを得ないとはおっしゃってたけれど、やっぱりでもそのおかげですごく充実感も感じられたし、逆に良かったなと思ってます。

ちか

本当にそう思います。
あともう1つ、お店であれ絵画であれ歌で表現しようとかなんでも、媒体として今回お店だったけど同じことだったと思うんですよね。
本当に歌でよかったのかとか、このメンバーでお芝居が作れるのだろうかとか。
だから1つの挑戦ができて始まってもうすぐ終わろうとしていることが、本当に本当にそれが、まず自分たちを褒めてあげたいです(笑)。

(パチパチパチ!)

ものづくりのひがしさんが見れて幸せでした!

スタッフE

最初に言ってたゆっくりやるってことが、私が普段作ってきたプロジェクトのスピードと全然違って、それを最初すごく嬉しいと思いました。
早すぎる、急いで作る、それなりに見えるものに作る、みたいな小手先ばっかりを覚えちゃってて、体が。
それを変えたい!と思ってたことにもちょっと気付けて、このチームならそれが今年できるかもと思ってすごく嬉しかった。

他のものも、いかにインスタントにやりすぎてるかというのもすごい自戒して。
自分がこれからやっていくものとか、すごく考えていく種をもらったなと思ってます。

あとお店にして良かったなと思ったのは、ひがしさんが入った後の、今までの対話の本当に寄り添いとか愛のあるふれあいの側面のひがしさんではなく、ものづくりのひがしさんが見れたのがすごいかっこよかったですよね!
あの熊手を作ってるのめっちゃかっこよかったよね。
熊手もそうだし、空間も1つ1つのみんなのものがこれだけ生きて見えて、入って「わぁ!素敵」ってなる。
ものじゃない描く力なのかつくる力が、今までのひがしさんと全然違う側面として見れたのはめっちゃかっこよかったです!
この目に触れられたの、幸せでしたね。

ちか

私にはできないことが多いんですよ、実は。
とってもできないことが多くて、不器用なんです。高倉健なんですよ(笑)。
やっぱり私にないものを持ってるスタッフの皆さんで、プラスこのLISTENコースの皆さんが持ってらして、尊敬してます。本当に。
だからできたんだなぁと思って。

久々のエピソードはいかがでしたでしょうか〜
この他にも、天然酵母を発酵させようとしてお店にぶどうとりんごを水で酵母菌にする瓶を置いて、片方にはいい言葉「かわいいね。きれいだね。美しいね。」、もう片方には悪い言葉をかけて、最後にその酵母菌でパンを焼いていただいて、どちらがおいしいと感じるかっていう実験をしてみたり。

あとは誰かと知らない人と文通できるポストが設置されていたり。
入口には大きなテントがあって、その中で絵本を読んだり演奏したりお話したり、ゆっくりできるスペースがあったりとか。
あと毎日お花をカゴいっぱい届けてくださる方がいて、隅のほうとか真ん中のほうとかいろんなところにお花を花瓶でサッと生けてくださったり。

それぞれが、ここの空間でやりたいこととか見つけてやってくださって、お店っていうステージで表現してらっしゃいました。

それと「にじ」という曲、ご存じですか?
その曲をみんなで手話を交えて演奏して歌ったんですよ。とってもいい時間で。

最後はその「にじ」をお聴きしていただきながら、おしまいにしたいと思います。
またご感想などもお待ちしてます。
これからもゆっくりですけど、マイペースに続けられたらいいなと思ってます。よろしくお願いします。
では、さようなら。ごきげんよう〜!

架空の学校『アルスコーレ』

日常の余暇(スコーレ)を楽しむための技(アルス)を育む学びの場。
アートや学びに関するイベントの企画制作に携わる人材を育成するプログラム。
プログラム参加者は3つの実践コースに分かれ、山口市中心商店街で実施する展覧会やイベントに向けた活動を進めていった。

「LISTEN」コースは、ひがしちかと17人のメンバーが自分や隣の人の声に丁寧に耳を傾け、じっくりと考え、大切にすこしずつ言葉にしていく、そんな時間を重ね、答えがすぐに出たり分かりやすい成果が出るわけではない活動を、どうやって街の皆さんにお伝えしていこうかと考えて、「生活と芸術と平和」というキーワードを大切にしつづけていくための、小さなきっかけを手渡しできるお店を開いた。

ARTIST in ARCADE vol.2 ひがしちか

生活と芸術と平和の店「LISTEN」
10日間限定 対話のためのポップアップショップ
2024年12月14日(土)-23日(月)
場所:吾妻屋ビル(山口県山口市道場門前)

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