Vol.24 山のポテンシャルは景色だけじゃない with 古谷知華さん

おもしろい匂いがプンプンして、出会って数時間後にこのポッドキャストを収録することになった、今回のゲストは古谷知華さん。
収録前にちょっとだけ話したり「いや、ちょっと待って!話さないで」とか言ったりして、この収録にのぞみました。
お互いのことをまだ知らなすぎて、名前すらあやふやな状態で始めてしまいましたが、とても楽しい収録ができました。

ちか

今日のゲストはふるたに…

ともか

(小声)ふるやです…(笑)

ちか

古谷(ふるや)!知華(ともか)さん。
初めまして!

ともか

初めまして。
実は初めてで、ポッドキャストを収録している、突然(笑)。

ちか

数時間前に出会って、一緒にお昼ご飯食べて、私が「この人は匂うぞ」と絶対おもしろい話が聞けると思ってお願いしました。

ともか

ありがとうございます。

ちか

まず自己紹介をお願いしてもいいですか?

ともか

あらためまして、古谷知華です。
自分は食の領域で活動をいろいろしていて、もともと7年前に『ともコーラ』っていうクラフトコーラを作って。

その後3年ちょっと前に、『日本草木研究所』という会社を作ってブランド立ち上げて、そこで日本の在来植物かつ食べられる植物の研究をしていて、その植物を使った調味料とかお酒を開発したりとか、それをレストランに下ろしたりとか、そういう森林資源の活用を今やっています。

ちか

食から生産も行き来しながら、今回は香りを。
長野県の香りを作るyaso(ヤソ)さんっていうところに、繋がりがあって行ったっていう経緯で、うちに来たっていうのがあるんですよね。
yasoさんは木ですよね。

ともか

yasoさんは木が多いですね。

牛乳がヨーグルトに変わる木

ちか

仕事としてそれをやられてるっていうか、さっきもとにかく楽しい!みたいなことおっしゃってたじゃないですか。草木の研究とか。
うちに来ただけでも、もういろいろ教えていただいたことがあって。
地衣類(ちいるい)の、さっき何でしたっけ?梅?

ともか

ウメノキゴケですか?

ちか

ウメノキゴケとか、うちのお庭に山茱萸(さんしゅゆ)があるんですけど、それがヨーグルトになるっていう話、ちょっとしいただいてもいいですか?
ちょっと本当にびっくりだったんですけど。

ともか

山茱萸っていう春先に咲く黄色い花があって、その木の枝を折ってヨーグルトに混ぜてつけておいとくと、牛乳がヨーグルトに変わるという木があります。

ちか

温度はなんでもいいんですか?
あったかいとか。

ともか

25℃ぐらいが多分いちばん乳酸菌が活性化すると言われてるので、だから今の時期とかもいいんじゃないですかね。昼間とか。

ちか

やってみよう〜

ともか

やってみてください。

ちか

やってみたい〜。

コーラは元気のための薬膳飲料

ちか

それだけでも私としては勉強になったんですけど、お話していくと26歳でともコーラを立ち上げたっておっしゃってましたよね。
さっきおっしゃってたクラフトビール、クラフトジンとかがブームになってきて、そこでクラフトコーラを作ったっていう26歳の春?夏?

ともか

26歳の夏!(笑)

ちか

もともとコーラが好きだったとかそういうのじゃなくって、「あ、これはすごい!楽しい」みたいな感じでコーラを思いついたんですか?

ともか

そうですね。
食育家庭で育ったので、コーラを大学生まで飲んだことがなくて。

ちか

おぉ!何人兄弟ですか?

ともか

一人っ子です。
飲んだことがなくて、でもいざ飲んでみたら「甘いなぁ…」みたいな感じで。
しかもあんまり体に良くないみたいなこと言われて育ってたので、飲んでなかったんですけど。
食の歴史の本みたいなの読んでた時に、コーラが実はスパイスとかハーブを使って作られていて、かつ人々の体を元気ににするための薬膳飲料だったっていうのを読んで、それで一気に興味が出て、自分でスパイスとハーブを調合して作ったのがきっかけです。

ちか

最初にクラフトコーラとか出てきた時に、「コーラって作れるんだ」ってみんな逆に思いましたよね。

コーラの実ってあるの?

ちか

コーラってコカ・コーラっていう飲み物だと思ってたけど、そういう歴史があるとかそういうのとかあるの?
コーラの日本に入ってきた時の何かとか。

ともか

実際にコーラを作るのに、コーラの実を使ってるんですけど。

ちか

コーラの実ってあるの?

ともか

あるんですよ。

ちか

へぇ、知らなかった!

ともか

コーラの実が入ってるからコーラなんですけど、そのコーラの実は西アフリカのほうだとちょっと元気になりたい時にみんな噛むんですよ、そのまま。
植物の種類としてはカカオとかと同族なんですけど、それを噛んで二日酔いの時とかに食べるとみんな覚醒するんですよね。
だからコーヒーとかにちょっと近いような使い方してるっぽいです。

ちか

今は科学的にハイにさせるみたいな、手っ取り早く…。

ともか

そうそう、カフェインをそのまま入れてる。

ちか

そういうちゃんと天然のもので、ありがたくいただく歴史がちゃんとあるんですね。

ともか

緑茶とかと近いっていうか抹茶みたいな、どこにでもそういうカフェインが入ってるものってあるけども、それの西アフリカの代表がコーラ。

ちか

お抹茶もまさにそうで、密室で大の大人がアルコール入れて、カフェイン高濃度摂取で濃茶飲んで薄茶飲んでっていうね。
あともともと僧侶が、眠気覚ましに飲んでたとか言いますもんね。

ともか

禅の時にですよね、眠くなった時のために。

ちか

そうなんだ、すごいおもしろい。

山の案内人とRPGゲーム的に出会うんです

ちか

もうそこだけでも話が尽きないですけど、それが26歳って聞いて。
それで、今は『日本草木研究所』で、山を宮崎に買って…??

ともか

そうですね、宮崎に山を買ってってのもそうなんですけど。
ずっと日本の山の各地を巡って、そこに日本の森に生えている天然のシナモンとか天然の胡椒とか、そういうものがたくさん実はあるけども使われてきていないっていう背景があって。
コーラを作ってる時に、日本にもそういうスパイスとかハーブないのかなと思って、山に探索に出始めたんですよ。
そしたらその結果、「いや、なんかあるぞ。めっちゃあるけど使われてないぞ」ってなって、もったいないって。

ちか

でもその時に、この植物が何かって分かってらっしゃるから見えてきたんでしょう?

ともか

いや、最初は山の案内人みたいな人とRPGゲーム的に出会うんですよ。
だいたい各都道府県に絶対にいるんですよ、山野草に詳しいおじさん。
おじさんが多いですね、おばさんよりも。
そのおじさんに山の案内してもらって、「これはシナモンの木だぞ」とか「これは胡椒だぞ」とか教えてもらって。

ちか

山っていくらで買えるの?
今100万円とかから、いろいろ買えるじゃないですか。
山とそこに生えてる植物がやっぱり欲しいっていうか。
全部、微生物、土含め、その環境を買えるってことじゃないですか?
それ、何歳の時に決定したんですか?買おう!みたいな。

ともか

山を買おうって思ったのは今年入ってからで。
今まで山取りでスパイスとかになるものを収穫してたんですけど、栽培フェーズに入るんですよ、今年から。
栽培をするのに自分たちの山で植林としてスパイスの木を植えて、山を育てながら収穫もして回していこうっていうものなので、今年に入って山を探し始めました。

山の価値は、植わってる植物で変わる

ともか

山の値段は、この今のお住まいの辺りだとちょっと高いんですけど。

ちか

代替1坪5千円、安くて。高くて2万円。

ともか

ですよね。
でもここ多分、居住地になる土地だからそうだと思うんですけど、山林とかだともっと安くて、1ヘクタールで5千円?5万円かな?とんでもなくとりあえず安くて。
1000平米で500円とかですかね。

ただ上に乗ってるのが杉とかだと高いんですよ。
やっぱり建材になるので、杉が植わってる山とただの雑木林というか、あんまり価値の普段はついていない木の山だと、価値が50倍ぐらい違うって言われてて。
私が買う山は杉の山じゃなくて、今は価値が見出されてないけど、我々的にはシェフからも人気あるし使えるよなって思う木が植えてある山を買うので、安い山ですね。買ってるのは。

ちか

でもそれが銀行とかに行って、いわゆる仕事のための材料になるわけじゃないですか。
食いぶちの種っていうか、大きな仕入れでもあるじゃないですか。
土とか微生物とか自分で作れないものを買う、すごく大きないい投資っていうか。
やっぱり自然な流れだったんですか?

ともか

山って結構土地と似てて、普通の住居の土地と同じ考え方で、土地と上に植わってる植物で財産が変わるんですよ。
上の所有権だけを買い取るとか、あとは土地を借りて上の植物を育てさせてもらうとか、そういうのもできるんですけども。
実験的に自分たちでも山主になってみたいっていうのを思ってて。

山主が山に価値を感じてない

ともか

いま全国のいろんな山の持ち主の方と提携して、いろんな食材を山取りしてきてもらってるんですけど、自分たちが山主になって初めて手入れの大変さとか、もしくは手入れを林業組合に頼むのでしたらそれの費用だったりとか、コストがどれだけかかるとか、持ってみないと山主の気持ちも分からないし。
それを持つことで新しい事業をまた考えられたりとかするかもしれないので、とりあえず山が大好きなので、持つにはいいタイミングだなみたいな感じですね。

ちか

そういえば先月ちょうど長崎に行って聞いた話が、松茸が不作っていうのは人間が山に入らなくなったからって。
本当は共生することでもらえる食べ物とかが、人間もよく自分の立ち位置が分かんなくなってきてるなっていうのをすごい感じたりして。

山を買うってすごい大きな買い物のようだけど、すごく実は安くもあるっていうか、中身が買えるじゃないですか。
目に見えない小さな生き物たちが、すごい仕事してるでしょう。
それをそのまま、管理っていうと変だけど、すごいお買い物ですね。

ともか

そうですよね、確かに。
ただそこに目に見える価値を感じてない人がほとんどで、私が買う山も山主の人をまず見つけるのがすごい大変だったんですけど、見つかった後に「今後、管理どうやってされていく予定ですか?」ってのをお伺いして、「管理?そんなのしないよ」みたいな感じで。

結局、放置林が増えてるんですよね。
なので、山をどうにかして自分の生活に役立てたりとか地域に役立てたりとか、はたまた商売に生かしたりみたいなことって、やっぱりなかなか発想が最近はなくなってきていると思うんですよね。

でも赤松が生えてる山を手入れすれば、それこそ松茸が生えてくるかもしれないとか、そういうのがあるんですけども。
やっぱりどうしてもそこに目がむかないのはありますよね。

ちか

あまりにも自分事すぎて価値を見出せなくなったのって、すごくもったいないですよね。
土があるだけで、いろんなことができるなって本当に引っ越してきて思って。
田んぼを持っていることの素晴らしさとか、自分で植えてもいい土を持っていることって。

おじさんたちに「年間いくらで借りれるんですか?」「え、タダでいいよ」とか「焼酎1本でいいよ」とか、年間数千円とか言う方が本当に多くて。
みんななんで、価値をすごく低くしてるんだろうっていうのはとってもおかしいなと思って。
だから愛情がなくて耕作放棄地がいっぱい増えてたりとか、ソーラーパネルを立ててしまったりとか、本当に素晴らしいものの上にそういうことをするっていうか。

山の使い方の解像度がめっちゃ低い

ちか

お話聞きたかったのが、どうやってその付加価値を提供してらっしゃるのかなっていうのとか、それについて考えてるっていうか、すごいなと思って。

ともか

でもこのちかさんが今やってらっしゃる暮らしは、逆に暮らしの中で、山をどうやったら価値化できるかみたいなところやってらっしゃるなと思っていて。

ちか

いえいえいえ…!

ともか

私はそれすごい羨ましくて。

ちか

ただ住んでるだけです(笑)。

ともか

買ってきたネギを庭で植え替えるとか、養蜂をおうちでされてたりとか。

例えば、山にお家を買った後にどういうメリットを享受できるのかとか、どう生活が豊かになるのかっていうとこの想像がもっとみんなつくようになったら、山に移住しようとか、山の土地をセカンドハウスとして買ってもいいかなってなると思うんですけど、いま山の持ってるポテンシャルって多分みんな景色ぐらいにしか思ってなくて。
「仕事しながら森が目に入って気持ちいいよね」で終わっちゃう。

でもそこで蜂蜜も実は作れるとか、他にも自分が好きな食べ物を植えたらそれがまた次のシーズンに食べられる、しかも簡単なやり方でみたいな。
そこの暮らしの知恵がないし、ないからこそ難しく感じて、みんな景色止まりになっちゃってる。
山の使い方の解像度がめっちゃ低いと思うんですよ。

なので、さっき『生活芸術』っておっしゃってましたけど、暮らしの豊かさだったりとかが、ハタから見るとやっぱり芸術的にも見えるなと思うんですけど、そういうところを伝えていく人が増えてほしいです。

1つ1つ大事に選んだってのが、ぎゅーって伝わってくる

ともか

私も暮らしに関しては分かんないんですよ。
山で暮らしてないから。

ちか

そんなことない、そんなことない、全然そんなことなくて。
誰でも『生活芸術家』だと思ってて。
何が先生かなと思った時に、自然が先生だなっていつも思うの。
そういう時に気付きをくれる大きなことを教えてくれるものが、情報とかじゃなくて、感覚的なものとか「あ、美しいな」とか、ただ生活してる中でね。
でも、もう見えてらっしゃるんだと思いますよ。

私がどうこう言うものじゃなくって、「私、人間です」って言うぐらい誰でも同じ人間じゃないですか。そういう感じで。
でもネギ切った時の色とか育ち方の造形とかが結構興味あったりして、よく見るとか心を開いて見ると違う方向で見えたりすることの発見力とかが、研究というか新しい分野が生まれるんじゃないかなっていう、仮説みたいなのを実証していきたいなっていうのを思って。
結構真剣におもしろくやりたいなって思ってる。
言葉がいいなと思って。

ともか

言葉も素敵ですし、この場所に来るとその言葉の意味が分かる。
逆に来ないと分かりづらいですよね。

全ての人の生活の中に芸術があると思うし、ただそれを自分で見出せてないパターンが多いと思うんですよ。
他の人から見ると、「あなたのライフスタイルとか、気付きとして日々やってることってめっちゃ素敵だよね」って他人を気付けるけど、自分は当たり前で気付けなかったりとか、価値をなかなか自分自身が見出せないので、ちかさんの生活を見に来ると「あっ」ってなります。

ちか

そうですか?(照)

ともか

ちかさんのアトリエを拝見した時に、物がたくさん出てるじゃないですか。
でもその物自体はたくさんあるんだけど、1つ1つにちかさんの美意識だったり、人生のいろんなタイミングでこれが欲しいって思ったり、これが素敵だなと思って大事に選んだんだなってのが、すごいぎゅーって伝わってくる空間だったんですよ。

ちか

たった数分でそんなに感じてくださったの?

ともか

ただセンスがいいって言っちゃうとそれだけだけど、そういうことじゃないなと思ってて、大事に選んで全部本当に好きなものしか多分置いてなくて。
でも暮らしの中には、誰かがいいって言ってるとか、これを持ってるとステータスになるから置いてるとか、そういうもので物を選んでる人ってめちゃくちゃ多いと思うんですよ。

ちか

最近、ものすごく同じことを考えたりしてました!

ともか

ですよね!

ちかさんが生きてる証が全て詰まってる

ともか

でもちかさんのアトリエは、値段で換算したら高価なものも絶対あるんですけど、そういうことじゃなくて。
ちかさんしか選べない。選んでここに置いたあるものは、もうちかさんが生きてる証が全て詰まってるなと思って。

だから例えば変な話ですけど、ちかさんが亡くなった後にお孫さんがちかさんの部屋に入ったら、「おばあちゃん、すっごい素敵な人生を歩んでたな」って思うっていうのを、あの時すごい思ったんですよ。

めっちゃいいアトリエで、それは空間として自然の中にあって、あと調度品が全部美しくてっていうのもそうなんですけど、ちかさんがあそこの場所を、今までの人生で自分なりにすごい考えてるのと、自分なりに好きなものをちゃんと探求した結果、積み重なった空間だなっていうのがむっちゃ伝わってきて!
あのアトリエは素晴らしいなと思いました。そういう意味で。

ちか

ありがとう〜。

ともか

いや、すごいです。
ああいう場所って、私が今アトリエ作ってもああならないなって思うんですよね。
だから自分の美意識の追求だったりとか、他人に影響されずにそれを突き詰めることみたいなこととかも含めて、そういう生き方をしたいなってあのアトリエ見て思いました。

ちか

いやいや、そんなちょっと褒めすぎじゃないですか?(笑)

ともか

いやいや、本当に思ったんですよ!マジで思ったんですよ。
後でまたもう1回、最後に見せていただきたい。

ちか

ありがとう。

ともか

本当に素敵。

ちか

今度もう1回出て(笑)。

ともか

また遊びに来れるってことですね(笑)。

ちか

うん、来て♡

誰かのための『生活デザイン』に走っちゃってると思う

ちか

最後に何か質問とか。

ともか

アトリエ入った時に思ったことだったんですけど、置いてあるものとかも含めて空間全体として、どういう想いであのアトリエ作られてるんですか?

ちか

おぉー!考えたことなかったな。想い?
私、傘屋さんをやってて、40歳になって自分の人生もう1回考えたかったの。
その時に生まれた感じかな。
これからの自分の人生ににおいて、場所ってすごく無駄なよう で無駄じゃなくて。
自分の土台っていうか、それこそ木が生えるための土、山、種、そういうベース。
ベースって言うじゃない?場所のこと。それかなぁ。

ともか

あそこ入ったら多分、ご自身もすごいパワーをもらえるだろうし。

ちか

そう!とにかく楽しいの、1人で。
もうとにかく自分でいろんなこと考えたり、絵を描くことが本当に好きなんだ けど、もうずっと楽しいの描いてる時間が。
好きな本読んだり音楽聴いたり、音楽聴かなくても雪が降ってきただけで すごい感動したり、ゆっくり無音でお茶飲んでたりして。
ごめんなさい、こんな贅沢なこと1人で…(笑)。

だから、この感じをどうやって伝えたり作品にできるかなっていうのは、この感情的なところを伝えたいっていうのはいつも傘の時から思ってたんだけど。
日々感動してることとか何気ない、本当にお茶が美味しかったとか、この水滴の模様とか、そういう美しさを伝えたいと思って傘にしたり、絵で表したりっていうのを、夕日のグラデーションがきれいとか、茹でた時の枝豆の色がきれいとか。

目に見えない言葉にできないモヤとかあるじゃないですか、山に入った時の。
あの神聖な気持ちとか、ああいう清らかさをどうやったらできるのかなとか。
できないんだけど、できるように自分なりに出してみようとか。

ともか

そういうのを 感じやすい部屋?
そういうことをピュアに考えられる自分に、立ち戻れる部屋みたいな感じなんですかね?

ちか

あ、そうだね。
目的とかがないからいい のかもしれない。
人に見せようと思って作ってないっていうのもあるかも。

ともか

それが大事っていうか、『生活デザイン』に走っちゃってると思うんですよ!最近。

ちか

すごいね、名言が出ちゃったかもしれない。

ともか

インスタとかも、例えば別にこれ欲しくないし食べたくないけど、あげるとあそこの店行ってたんだって思われるとか、こういうステータスなんだって思われるっていうので、みんな自分をブランディングしたりとかするためにデザイン的にやってるんですけど。
ちかさんの空間は素敵でありながら、何からの評価からも逃れられる独自の世界観だし、誰かのためにやってないなと思ったんですよ。
それが本当にいいなと思ったんですよ。

ちか

確かに利益とかそういうの、そうだね。

ともか

誰かにこう見られたくてこの空間にしてるわけじゃないですよね。

ちか

むしろもう見ないでください!ぐらいな感じだもん(笑)。

よくみんな「ここでなんかイベントやったら」とか、近所の方からは「子供の絵画教室とかしてくれない?」とか、それはいいなとも思うし、誰かと共有した いっていう気持ちもちょっとあるんだけど。
何でもない場所とか意味とか目的がないただの空間とかは、結構おもしろいなと思って。
本当に出会い で、だからあんまりインスタに自分 の空間アップしたりはしてないっていうか、ちょっと恥ずかしいかも。そのままの自分で。
おしゃれじゃない部分とか、タッパーとか出ちゃうタイプだから(笑)。

ともか

でもそれが全部ちゃんと調和が取れてたんですよ。
物が出てても全部馴染んでるから、全てが調和してて本当に美しかったです。

ちか

なんか読み解いてくださったなんて、ありがとう。

ともか

勝手に思っちゃいました。

ちか

いやいや、ごめんね、こんな私の。

ともか

いや、とんでもないです。

ちか

これから木蓮とかね、取りに行きたいんだよね。

ともか

そうそう、木蓮とかコブシの花をちょっと取りに行って、お茶でも作ろうかなと思ってます。

ちか

お引き止めして、こんなに長く。

ともか

とんでもないです。
最後にちょっともう1回アトリエ拝見できたら嬉しいです。

ちか

ありがとう〜。
今日のゲストは、古谷知華さんでした。

ともか

ありがとうございます。

古谷知華(フルヤ・トモカ)

調香師、プロデューサー。
1992年生。2015年東京大学工学部建築学科卒業。
調香やハーブ・スパイスに関する知識を活かし、クラフトコーラ「ともコーラ」やノンアル専門ブランド「のん」等の飲食ブランドを設立する。
日本各地の山に入り食材獲得するのが趣味。食への探究心が強く「料理王国」「OZmagazine」等で連載執筆も行う。

Instagram

日本草木研究所

軽井沢・岐阜・高知をはじめ各地に研究拠点を持ち、全国の里山に眠る植生の「食材としての可能性」の発掘を行います。
目指すのは、海外のスパイスやハーブが日々の食卓に並ぶように、日本の木々や名も知れない野草たちが食に当たり前に関わる日常の実現。
日本の原始的な食用植物資源の価値化は、地方産業の活性化や持続可能な食材供給、新たな国際競争力にも繋がっていく。
それらを実現するために今日も全国の里山に入っては、蒐集・記録・発表を繰り返し、おいしい価値化を試行する研究機関です。

WebSite
Instagram

Back