Vol.6 刺繍と旅とエイの針と with貝戸哲弥さん
2023年11月05日
今回のゲストは、説明しきれない魅力の 刺繍作家の貝戸哲弥さんです。
私が年下なのに、常にどなたにも敬語の哲弥さんで、 なんか聞いていると私えらそうですが、お聞きください。
1週間前にエイに刺されて
今回のゲストは貝戸哲弥さんです。
自己紹介をお願いします。
よろしくお願いします。
貝戸哲弥(かいとてつや)です。
自己紹介ってありますか。
私も哲弥さんのこと説明をちゃんとできるかわかんないけど。
自己紹介、したことないな。
でも旅とかよくしてるじゃない。
旅してて自分のことを言うときは、日本人ですとか聞かれたこと答える感じ?
でもやっぱ職業とか聞かれるんじゃない?
そうですね。
自己紹介って難しいよね。
今は、刺繍の絵本を作っているのがメインですかね。
でも、今って感じだよね。
1年後とかどうなってるかわかんないよね。
今散歩してきて、アトリエの温室に着いたね。ここで話す?
そうだね。ありがとう。
哲弥さんは いつも千葉県の佐原市に住んでて、アトリエとお家が佐原にあるね。
佐原、すごいいい町だよね。
そうですね。すごいいいとこだと思います。
なんかここに画用紙があるから、哲弥さんの絵描くから、お互いを描きながら喋ろうか。
手持ちぶさた(笑)。
書かなくても、お絵描きでもなんでもいい。
最近流行ってることとかある?
うーん、流行ってることは、
ずっと小さい時から海が好きで、夏はもう毎日海に行って泳いでます。
最近サーフィンしてるって言ってたね、さっき。
子供が今5年生なんですけど、一緒にサーフィンに行って。
ちょっと1週間前にエイに刺されて、それから怖くなって行ってないんですけれども。
エイって刺すんだね。
うん、初めて刺されて、左足。
あ、その傷かぁ。
うん、この傷ですね。
その話も結構哲弥さんっぽいなと思ったんだけど、私がびっくりした点を言うと、刺されて、救急車に運ばれて病院に行ったんだけど、すごい行列で待つのが嫌なのと、 初診料7000円+かかってくると思うと、美味しいもの食べたほうがいいんじゃないかと思って、みんなで美味しい中華を食べて、何も治療せず帰った(笑)。
帰ってきて、今も針が刺さったまま足が腫れています。
針刺さったままなの?!
パッとこう見えてる部分だけ引っこ抜いたんですけど、たぶん中に入ってるのか。
一緒にこれから生きてくんだ。
そうですね、どうなるのかわからないんですけど、ちょうど落ち着いて。
そういうエピソード多くない?
前も、自分の歯だと思ってたらあるものだったっていう。
そうですね、1年ぐらい色んな国を旅して周っていて、もちろん歯磨き持っていなかったので、歯1年ぐらい磨いてなかったので、さすがに妻に歯医者に行ってこいと言われて。
海外で?
日本に帰国してすぐに、見た目からして歯が汚すぎるから、 歯医者にちょっと行ってこいと言われて。
歯医者に行って、歯医者の先生も「こんな歯は大変です」みたいなことになって、レントゲン撮ったら、すごい歯石がついていただけで、1本も虫歯がなくて。
すごい守られてたんだ、歯石でコーティングされてたんだ(笑)。
「こんな歯はなかなかないです」ってことで、せっかく来てもらったのでっていうことで、前歯2本の間にある今まで自分がずっと何年も歯だと思っていたところを削られて「これなんですか?」って聞いたら「おそらくナッツかなんかが集まってるものだと思います。それが固まって」って、それを取られたことで余計にすきっ歯になってしまって。
それで保たれてたのにね(笑)。
他に体の中に今一緒に生きてるものない?
なんかありそうだね、エイとアーモンドの他にありそう。
怪我はたくさんしてますね。
まったくサーファーに見えないよね。
そうですね、全然もう。
遊びが好きで、もうスケボーやらスノーボードやら、見てなんでもやりたくなっちゃうので、 見てるのがすごい嫌いで。
例えば一緒に友達とかと海行って、見てて満足する人と入らないと満足しない人がいると思うんですけど、絶対入らないと、海見て帰るとかできなくて。
必ず川でも海でも行ったら入りたくて、 なんかじっとしてられないんですよね、きっと。
スケボーとかでも見かけると、やりたいと思ってなんでもやっちゃう。
とても風貌からして、 サーフィンとかスケボーやってる感じに見えないよね。
ラジオだから見えないと思うんだけど、なんて言えばいいんだろう、森の中から出てきたとかよく言われるでしょう?
絵本の中から出てきたようなとか。
どうなんですかね(笑)。
なんかでも、そうですね、汚い格好してますね。
いやいや汚くない、すごいおしゃれさんで、いつも結構ヴィンテージの服が多いよね、刺繍の。
哲弥さんは本当に美しいっていうか、もうすごく哲弥さんにしかできないものを作ってるよね。
絵本と刺繍。
そうですかね。
哲弥さんの魅力って時間みたいなことだなって
うん、「黒けもの」から始まって、最新作は4作目の「黒のけもの」。
私は今朝、朝ごはんを食べた後に読ませていただいて、とっても素敵で、 冒頭のテキストがすごい良かったなぁ、もちろん中身もなんだけど、なんかこういう大人がいるっていうのは、すごく私は勇気をもらいます。同世代で。
ありがとうございます。
なんか日々に追われたりしないの?
でもすごく子育てもしてるし、生活と 地続きっていうか、遊びもやるししっかり家庭のこともやるし、なんかおもしろ家族だよね。
もうこれ伝えられない。これを聞いてる人になんて伝えればいいか。
外がとにかく好きなので、今とかも温室の中にいて最高なんですけど、とにかく家の中でじっとしてることができないので、外にいて。
でも刺繍は家の中じゃない?
だからたぶんそれの反動で、刺繍しているかどちらかなんですよね、極端で。
刺繍やりながらもやっぱり外出たくなったら出てって感じで、動いてないと1日がもったいないような気がして。
1日の生活サイクルってどうなの?
結構昔聞いた時は早起きで、朝仕事するタイプ同じだねとか言ってたよね。
今もそう?
今もそうですね、早く起きて、アトリエが家と別なので、やっぱり子供が寝ている時間とかに起きると、アトリエに向かって作業して、 夜も子供が早めに寝れた日はアトリエに行って仕事をしてって感じ。
今朝見せてもらった絵本は、コロナの時に3年間分ぐらい作りためた、コロナらへんから作り始めたってこと?大作だね、あの本は。
うん、なんか、そうですね。
大体1つのページに対して、1つのモチーフで刺繍があるんですけど、どのぐらいかかるんですか。1体、1ページ分。
そうですね、大きいのだとひと月くらいですかね。
1つにひとつきくらいかけて1ページ。
小さめの図案で2、3週間って感じで、結構時間かけてゆっくり。
逆に図案を決めるというか、ラフ画の時点ではもうほんとに構成も何もなく、1日でバッて描いたものを後から3年とか2年とかかけて作品にするっていう感じ。
刺繍にするまでに構想が変わりそうなものなんですけど、意外と考えてもやっぱり最初の方が良かったって戻ってきて、 最初に考えたままのものを忠実に、自分で作った作品なんですけど自分の絵を見本に作ってるみたいな。
今お話してて気づいたんですけど、哲弥さんの魅力って時間みたいなことだなって。
刺繍ってすごく時間が確かにかかるじゃない?1針1針。
今、社会が全部がスピードがすっごく早くて。
(哲弥さんは)最近まで携帯持ってなかったっけ?
うん、携帯もいわゆるガラケーみたいな。
だったよね。
そうそう、ちらほらさっきお話したんだけど、何年ぐらい放浪してたんだっけ?
家族でちっちゃい子連れて。
小さい子連れては、半年ぐらいですかね。
人間2人いたらやっぱ抱き合って寝ないと
その前にはご夫婦で、どこの国に行ったの?
ルーマニアとか、あの周辺、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ。
ウクライナも行ったんだ…。
じゃあ今どんな気持ち?ウクライナのこと。
なんか内情がわからないですけど、目で 見てみたいというか、やっぱり自分の旅したところがいろいろ 景色がなくなっていくっていうのは、寂しいですよね。
でもいい思い出しかやっぱりなくて、旅先どこの国でもそうなんですけど。
行った国でも、ここの国はあんまりっていうのは全然なくて、どこに行っても新しい国って全部好きで。
日本でもそうなんですけど、初めて見るところがすごく好きで、いつも旅の目的地は知らない方向へ全部向かっていくから、結構いろいろ泊まりましたね。
本当の旅をしてる人っていうか、いわゆる日本人がスーツケースゴロゴロって持って観光地に 行っておみやげもの買って、とかじゃない旅をいつもするじゃない?
本当にその現地の人になっちゃうっていうか。
すごいおもしろい旅してるよね。
荷物の重さと歩くエネルギーというか、例えば、当たり前だけど食料を持ちすぎたら重いじゃないですか。
そのバランスは結構考えるようになりますよね。
ここの丘を越えるにはバナナ2本くらいがいいとか。
寝袋持ってるわけでもないので、寝るにはこの場所がいいかなとか。
え、野宿とかも寝袋なしで?
うん、寝袋なしで、雨の日は商店の軒下とか。
でもほんとにおもしろいというか、妻とも毎日もう喧嘩しながら旅してるんですけど、夜はもう 夏でもヨーロッパって結構冷える時あるので、人間2人いたらやっぱ抱き合って寝ないと寒いので、暖を取るためにお互いの体を必要とする。
結婚ってそういういいところもある。
ジプシーってお金ないときは金くれって言うし、持ってる時はおごる
あの遊牧民じゃなくて、なんだっけ、一緒に生活してた。
ロマのジプシー?
そうですね、遊んで一緒に寝泊まりしてる時はありましたね。
印象的だったのが、盗むのが当たり前っていう、なんだったっけ、その話がすごいおもしろかったんだけど。
みんなで分け与えるみたいな、貧しい人たちで。
うんうん。
ルーマニアで有名なジプシーのバンドがいて、そういうバンドが海外の公演なんかに行くと、空港でスリをしてしまって、捕まって公演が中止になったりとかっていう話を聞いて。
でもそのジプシーの楽団の人たちって自分の村に帰ると、ライブとかで稼いだお金って全部子供たちに分け与えて、それで自分はお金なくなって金貸してくれとか、そういった生活をしている人がいて。
でもお金も本当にリンゴ的な考え方で、自分でたくさん持っていてもしょうがないみたいな感じで、小さい子だったりとか貧しい人に分け与えて暮らしてるっていう印象がありますね。
その昔お金の定義が目減りするものだったから、その時に旬な時に使わないとみたいなことも、納得と思った時があって。
今は貯蓄できたりとかすることによって、争いとか遺産みたいなのができてくると、人間にとってはあんまりよろしくないなって思うことあるな。
社会主義の時代なんかは、やっぱりお金よりもお酒だったりとかが価値の変わらないものとして、お金って価値すごい変動するけど、必ず必要とする蒸留酒なんかは絶対的なもので、病院で見てもらうとかにしてもお酒の方が先に見てもらえるとか、なんかお金と物の価値がそんなに変わらないというか。
あとそのジプシーの人は、お金持ちからしか取らないみたいなこと言ってたよね。
そうですね、結構ジプシーってお金取ろうとしてくることもあるけど、分けてもらうこともあって。
ルーマニア人全体に言えるんですけど、みんな結構お金ない時は金くれって言うし、お金持ってる時はビールでもおごるみたいな、タバコでも吸うかとか、分け与えることをすごくしてくれて、そういった印象がありますね。
民族性みたいなのもあると思うけどね。
ルーマニアで暮らしてる時も毎日遊びに来ている友人がいて、その友人も毎日帰らないで遅くまでずっと酒飲んで酔っぱらって、子供たちも遊びでなんですけど、帰れ帰れって言って追い出すような感じでいつも帰させたりとかしないと帰らないんですけど、でもお金を持ってる時は子供たちにもすごい量のお菓子を買ってきて喜ばせて、さらにお小遣いまで渡して買い物行ってこいとか。
日によってもう全然、自分の持ってるものを多ければ分け与えるし、なければ分けてくれって言うし、 ほんとに人間的。
お金の価値とかってそこにとらわれることとかがあるから、そういうことって結構考え方とか意識を変えるためにも、なんかすごくいいなと思う、そういう話聞けるだけでも。
お金で買うとそれ以上でもそれ以下でもない、その価値にしかならないけど。
うちもゲージなしでニワトリを飼って卵をいただくじゃない?
やっぱり卵あげるとさ、卵売ると例えば何百円とかっていう価値だけにしかならないけど、逆に別のもの、お野菜いただいたりとか、これあげるよとかレコードくれたりとか。
そういうのってそれ以上の価値になってきたり、人によってはお返しをしなかったりもする、でもそれでもいいのね。
だからお金っていう数字になっちゃうと、数字の価値だけになっちゃうなって。
物々交換のおもしろさとか、お金の価値を考えさせられるよね、そういう自分の 概念以外のことに触れると、おもしろいな。
ルーマニアでいちばん小さな紙幣って1レイって言って大体日本円で30円ぐらいなんですけど、例えばお金のない子供にお金くれって言われて1レイ渡した時もうみんなたかって、でも1レイずつ渡しても日本円にして本当に200円とか300円とか。
それでみんなすごい喜んでキャンディーとか買ってる姿とか見ると、すごくこっちも幸せだったりとか、うまく言えないんですけど、子供たちと遊んでる時間ってすごく楽しくて。
でもジプシーたちも必死に俺に何か返そうとして、畑からネギを取ってきて「哲弥、食べるか?」とか、いろんなことを必死に返そうとしてくれて。
作品を社会と繋げてくれたのがチカちゃん
哲弥さんのさっきのエイに刺された話とかもすごいおもしろいなって思って、哲弥さんのおかしな魅力、すごいなと思うよ。尊敬してます。
だって昨日一緒にラーメン屋さん行って、もう頑なに奢ってくれたじゃん。
自分の足のエイに7000円出せないのに、うちの家族分まで払ってくれて、頭おかしいよね(笑)。
チカちゃん、いつも負けないから、たまには負けないといけないなと思って(笑)。
そうそう、私がコシラエルやってる時に、その時に「黒けもの」展できたの良かったなって思って。
そうだね、初めて。
確かチカちゃんがアトリエに来た時に俺の作品とか見て、俺その時まだ売るとか何にも決まってなくて、「どうするの?」みたいなことを言って、それで 「まだ自分の作品結構好きで、別にこうやって増やしてく、今んところ」みたいな話したら、チカちゃんが「自分の作品に囲まれてるなんて気持ち悪いから、私のところで展示やった方がいいよ」みたいな感じで(笑)、そういうきっかけだったような気がする。
それで「あぁそうか、俺ちょっとダメなんだ」と思って、作品を社会と繋げてくれたひとつのきっかけ。
いや、失礼、とんでもない(笑)。
すごいよかったからっていうのももちろんあって、 かっこいいもの作るなと思ってたのと、私もそれ言われたことあるんだよ。
作家のもとに作品があるのはよろしくない、もっと風通しして、と。
なんかナルシストみたいになるじゃん、自己満足みたいな。
私も自分の傘とかすごい好きなのね。もう大好きだったの。
1本売るのも嫌だったの、どんどん手放していくのが。
でもやっぱ手放さないと自分も成長しないし、作品自体にもいい風が吹かなくて。
言われたの、私もある人から。
そうなんだね。
うん、あれがなかったら、たぶん今ごろ自分のアトリエの壁は全部自分の刺繍に囲まれて(笑)、今もたぶん同じように作り続けていたかもしれないです。
その作る哲弥さんの内発的なのって、勝手に手が動くの?
それとも何か 形にしたいみたいなことがあるのか。
たぶんもともと子供服作っていた時の反動が、あの時に結構当たり前に洋服の学校出て、デザインとかやり始めて、 なんとなく会社で見た商業的なやり方を自分のベースにのっけてしまって。
それで量産して卸しして自分の店で直売してっていう形でやっていたんですけど、いろいろ旅しながら自分の店もやっていた中で、やっぱりいろんな国の民芸品とか見ると、もう正直自分の作っているものを全然ダメじゃんと思って。
たぶんそれの反動があって、 手でできる、自分が外国行って買い付けてくるものに負けないようなものを作らないと、旅と作ってるものがすごい離れていってるような気がして。
それでもう子供服とか量産で作るのはやめて、見たものをそのままインスピレーションを受けて手で作る、 直結したやり方でやりたいなと思って。
そうだよね、哲弥さんと私が出会ったのも、恵比寿と広尾の間にお店があって、そこに子供服とか骨董っていうか海外で買い付けてきたすごい可愛いいろんなもののお店があったね。
その前が子供服だったんだね。子供服もすっごい可愛かったよ。
でもその中に自分の中でもっとこうしたいっていう結構葛藤があって、たぶんそれの反動で今は手でできるいちばんいい形をやってます。
私は知ってるけど、このラジオ聞いてくださってる方はご存じないと思うんだけど、ハンガリー刺繍がベースになってるんですよね。
そうですね、ルーマニアの中のトランシルバニア地方っていうところにハンガリー人村、 元々ハンガリーだった領土なんですけれども、まだハンガリー人が暮らしてる村がいくつも残っていて。
植民地化されたってことなの?
ただの移住みたいな感じ?
そうですね、もともとハンガリー領土だったところがルーマニアに取られて、そのままハンガリー人が住み続けているという形なんですかね。
そこで、イーラーショシュ刺繍という刺繍が民芸品とかであって、その刺繍をベースに。
色が、黒と青と赤だったっけ。
結構太い毛糸みたいな糸で、お花のモチーフとか。
モチーフは、神に捧げるとか祈り的なものとか子宝とかあるの?モチーフの意味。
そうですね。本当に今チカちゃんが言ったように、子孫繁栄だったりとか豊作だったりとか、いろいろ。
ルーマニアの「陽気な墓」
ちょっとアイヌのモチーフにも似てるよね、大胆な柄っていうか。
そうだね、植物が、なんていうんですかね、こう丸く。
対になってたりとか。
モチーフが、馬からおじさんが落っこちる ギター弾きとか、そういうのがあったよね。
お墓のシリーズとかもあったじゃない?あれがすごくおもしろくて。
哲弥さんはお花の時もあったけど、だんだんモチーフが変わってて今に至るみたいな感じで。
お墓のお話聞かせてくれない?
お墓に絵が描いてあるって言ってたじゃない?
陽気な墓っていうのが、ルーマニアの北部にマラムレシュ地方っていうところがあって、そこに行くとすごい木でできたお墓があって。
木なんだ!私、勝手に想像で石だと思ってた。
そう、木でできたお墓があって、そのお墓のモチーフというのは、死者の人がもともとやっていた職業がモチーフとされていて、肉屋だったら豚を切ってるシーンだとか、刺繍をやってるおばあちゃんとかだったら刺繍をやってるシーンとか、 トラックの運転手だったらトラックに乗ってるシーンとか、あと羊飼いだったら羊を。
その人が生涯何をしをしていたかが、主に職業として描かれているのが墓石みたいな、でも木だから朽ちてくよね。
そう、朽ちていく。
あと職業とは別に、車にひかれて死んだ人とかはそのモチーフがたぶん衝撃的だから、そういった死んだ間際のモチーフが描かれていたりとか。
それは誰が決めるんだろうね。
そう、遺族なのか彫り職人なのか。
日本だと住職が死んだ人に名前つけるじゃん。
この人は どんな人生だったかとか、そういうことに近いのかもね。
一字とってきたりどんな人生を送ったかみたいなの、言葉で日本だと表すじゃない。
おもしろいね。
それって彫ってあるの?描いてあるの?
彫ってある。彫ってペイントしてあるかな。
で、ちょっと朽ちてるんだ?
だって木だものね。
そう、木。
お墓自体はブルーのベースに描かれているんですけど、そこにいろんな絵が描かれていて、それがもうびっしり。
ちょっと悲しい話だけど、例えば子供とかだとどうなるの?絵は。
あー、でも小さい子もあるかもしれない。
顔だけの墓跡とかもあった。
チカちゃんはものを作るのと生活がすごい繋がってる
そろそろ30分経ったんで締めに行きたいと思うんですけど、なんか私に質問とかありますか?
もうここの今いる空間がすごく、チカちゃんの今後どうなっていくのかっていうのが楽しみですね。
チカちゃんも、物を作るのと生活がすごい繋がってるような気がして。
そうだね、そこの境界線をなくしていきたいっていうのがある。
どこを見せてもどこを見てもやっぱチカちゃんなんだよね。やっぱ。
ほら、見せたくない人っているじゃん。
自分の作ってるここだけ、日常は別です、みたいな。
子育ては子育てでやってその境がないのは、今滞在してるんですけど、すごく気持ちいいかな。
綺麗に自分をプロデュースできないのかも、私(笑)。
でもそういう夢の見せ方もあるよね。
綺麗にトリミングして、作家活動だけの作品だけを見せてくみたいなのが、私はなんかどうしても、このダサい自分みたいなのが出ちゃうんだよね。
不器用なんだね。
生活臭い(笑)。
でも私はその生活が結構基盤にあるし、中心になってるから、やっぱ子供のこととか。
わかりやすく言うと、インスタにプラのジップロックとかのタッパーのお弁当とかを載せちゃったりするんだよね。
うん、いいと思う。
ありがとう(照)。
みんなおしゃれに綺麗に切り取ってすごいなと思うけど、私はもう出ちゃうね。
おしゃれって疲れるからね。
自然にやっぱり生活して、その中で生まれるのものが。
いきすぎるとダサくなっちゃうからね。
そんな感じで、 じゃあありがとうございました。
まだいろいろ聞きたいんですけど、またゲストにぜひ。
ありがとうございます。
今日のゲストは、絵本刺繍作家、今はね。
今後サーファーとかになるかもしれないし。
エイの研究とか(笑)。
どこがどう回るか。
今度の作品、エイの本じゃん。
そうなんだよね。
俺もやっぱり考えてるね、それは。
やっぱ実体験ってすごく重要だから、こっから始まる物語がいいかなとか。
こっからもう始まってるね、体験、フィジカルにもう体で感じて、毒を。
自分にしかない、この実体験をやっぱり作品にしたいなと思います。
いいよ、ちょっと竜宮城とかまで行ってほしいな。
そうですね、せっかく体験したことは、ぜひ何かに。
貧乏性だね(笑)。
私もなんでも作品に。
これはたぶん何か降りてきたんだと思って(笑)、ありがとう、みたいな。
ポジティブに考えてます。
さすが、すごい素敵。
次回作エイだね。
エイだね。
エイから始まるお話ができると思います。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
貝戸 哲弥(かいと・てつや)