Vol.7 可愛いものと子供とルーマニアと with貝戸由希さん

今回のゲストは、ぬいぐるみ作家の貝戸由希ちゃん。
私は彼女の代表的なぬいぐるみの「BOO(ボー)」と生活して、ボーちゃんって言うんですけど、 もう20年以上も経ちました。
ほんとに家族みたいなくまのボーで。
ユキさんのあれこれ、うかがいます。

どこかちょっと人間味があるボーの魅力

ちか

今日のゲストは、貝戸由希ちゃんです。
自分のこと、自己紹介できる?

ゆき

自分のこと?自己紹介?私はなんでしょう?
うーん、フレデリックっていう名前でぬいぐるみを作っている、貝戸由希(かいとゆき)です。

ちか

1人でやってるよね。

ゆき

うん、1人でやってます。

ちか

そうだよね、何年?

ゆき

もう20年以上経ったね。
20年を過ぎました。

ちか

私はユキちゃんに出会う前に、ユキちゃんが作ったボーちゃんっていうぬいぐるみの方が先に知り合ってて、今41歳だから20歳ぐらいの時だから、21年前にボーちゃんと知り合って、ゆきちゃんと知り合ったのはたぶん28歳ぐらいだから。

ゆき

あ!一瞬でも会ったから、ボーを買ってくれて、ほんとにすぐに会ったよね。
本当に、だから20年前に作ってすぐ買ってくれて、それでまたすぐに。

ちか

そっかそっか。
今年なんかいろんなご縁があって、ボーちゃんの展示を横浜の人形の家っていうところでしたんです。

人形の博物館、あそこすごいよね、世界中の人形コレクション、すごいよね。
2時間ぐらい会っても足りないよね。
1つ1つのやっぱお人形ってエネルギーがすごいね。
なんか目があるとか大事なのかな。
目とか顔っぽいっていうのが、情報量が多いよね。

ゆき

そうだね。
あと素材が色々あっておもしろかったね。
トウモロコシの皮とか、その土地の素材があっておもしろかったね。

ちか

民芸品みたいな感じもあるしね。
それで、今年3ヶ月ぐらいかな。
ボーちゃんの展示と、他のぬいぐるみの作家さんとかお人形の 作家さんと一緒に、ユキちゃんが展示をしたんだよね。
ぬいぐるみのげんざいち」っていうタイトルで。
そこに私も少しテキストと写真を添えさせてもらってっていうのが今回あって。

ボーちゃんはファンがとっても私の周りでも多いんだけど、自分自身でボーちゃんの魅力ってなんだと思う?
客観的に見て、ボーちゃんの何がみんなに浸透していくんだと思う?

ゆき

1つは、やっぱり顔。
顔の表情の感じが同じ型紙だけど一体一体顔が違って、 みんな自分が手にしたボーを自分に似てるとか自分の子供に似てるとか、そういう風に言ってくれて、 なんかどこかちょっと人間味があるっていうか、そういうところがあるのかな。

ちか

今朝おもしろかったのが、ユキちゃんのお父さんがお持ちのボーがお父さんにそっくりって言うのが、見てみたーいと思った(笑)。
なんか、ユキちゃんの周りってマジックが起こるよね。

ゆき

そう?マジック起こってる?起こってるかな。

ちか

うん、ユキちゃん自身がすっごい魅力的で、いつもなんか一生懸命だよね。
すごく真面目だけど、ちゃんと不真面目なとこもあって、大好き(笑)。

ゆき

不真面目かしら(笑)。
確かに生真面目とは言われる、本当に。

ちか

でも、それ信頼感あるよ。

ゆき

そうね、ぬいぐるみ作りに関してはかなり生真面目、夢中で。

生活の変化が作品にも現れてくる

ちか

生活もそうだし、子育てもすごい頑張ってるし、お料理も上手だし。
このラジオのタイトルが、「生活芸術」みたいなことをタイトルにしてるんだけど、なんか ユキちゃんの生活って生活の中にも創作があって、創作の中にも生活があってっていうのって、すごく私が実験的にトライしたいっていうか、そこの境界線をなくすとか、ここからが仕事でここからがプライベートとかっていうんじゃないということが、どんなふうに社会に影響力があったり、自分とか人に対して可能性みたいなのがあるんじゃないかなってちょっと思っていて、今。
そういうことは日々感じたりする?

ゆき

そんな改まって感じることはないけど、1人 で作っている時から、結婚してさらに制作を続けて、さらに子供が生まれて制作を続けてっていう、 その3段階の家族がどんどん増えていく中で、子供が2人いるから4段階?
ずーっとぬいぐるみ作りを続けてきたから、少しずつ変化はしているけど、でもぬいぐるみに向き合うのは全く変わらないから、おもしろいよね。
多分ぬいぐるみ作りにも、そういう生活の変化が反映されているんだろうけど、自分では全然気づかない、ずっと同じボーを作り続けてるから。
そんなに何かでガラッと変わったっていうのはないけど、多分少しずつ生活の変化が制作したものに現れてるのかなっていうのは、ちょっと思うことはある。

ちか

その第5段階、第6段階、楽しみだね。

ゆき

うん、そうだね。

ちか

子供たちが離れた時に残っていくものっていうか、そぎ落とされて。
ボーはもう不足も過分もないみたいな状態じゃない?

ゆき

そうだね、もう進化もないし。

ちか

もう今完成されてるじゃん。
生まれた時から結構完成されてて、バリエーションとかもなくて、それがいいなと思う。着せ替えとかもなくて。
その完成系っていうのが、作るユキちゃんには時間の流れとともに、いろんなね。

ゆき

そうね、いろんな体験をしてね。

ちか

前お話してたけど、生地が変わってるって言ってたじゃない。
ずっと使ってた生地が買えなくなったとか。

ゆき

そうだね、やっぱり一時期はすごくボアとかフェイクファーってたくさん洋服にも使われてたから、色のバリエーションも毛並みの長さ、毛並みの感じ、毛足の長さも、いろんな種類があってほんとに色々あったんだけど、このフェイクファーとかボアが、軽くて肌触りのいいフリースとかにだんだん変わっていくのと並行して、 少しずつ減ってきているし、生産量もかなり少なくなっているから、日本で作る工場さんも少しずつ減っていって、やっぱ選べる色が少なくなってきたっていうのはあるんだけど、でもそれでも近いもの似寄りのものを探して続けてる。

ちか

業者さんから買うの?そういう生地は。

ゆき

うん、そうなの。 和歌山の方で。

ちか

ぬいぐるみ専門の?

ゆき

ううん、専門っていうわけじゃなくて、お洋服でも使うし何でもあるんだけど。

ちか

毛足長めの専門店みたいな?

ゆき

パイル工場っていう感じ。
パイルの専門で、それが和歌山が 割と産地になっていて。

ちか

パイルっていうと、生地から輪っかになってる状態のがあって、そこカットするってこと?

ゆき

ううん、ボアはボアで作っている。

ちか

ボアの定義って何なの?

ゆき

定義はなんなんだろ?

ちか

手足があるみたいなこと?

ゆき

うん、そうだね、生地に絡ませて起毛してるものが、きっとパイルなんじゃないかな。
多分タオル地とかもパイルって呼ぶし。
そこはそういうボアをいくつか種類を作っている工場で、多分日本で1番種類があるんじゃないかな。和歌山が産地になってると思うと。

ちか

あの、特徴的な目は?

ゆき

目はね、何かやりたくて。
今プラスチック製のアイテムを使っているんだけど、 なんかしっくりこなくて、何かもうちょっと人間味のある感じっていうか、 何か工夫したくて、それでフェルトをまぶたにつけてみて、なんかもうちょっと深みが欲しくて、目の下にはもう1段階フェルトをつけたりとかして、 それでようやく「あ!完成したな」と思って。
顔の雰囲気が完成したなって思ったのが始まりだね。

ちか

私、初めてユキちゃん見たとき、ボーちゃんだ!って思ったよ、ほんとに。

ゆき

よく言われる(笑)。
うん、なんか似てるってよく言われるけど、そういうの求めてたのかね、よくわかんないけど。

ちか

でもおもしろい話で、好きになる人って自分の親の顔に似てるんだって。
それ安心するんだってね。

ゆき

そうらしいね。
実際どうなんだろうね、そうなのかな。

ちか

でもすごい筋として合ってる気がして、赤ちゃんの時に無意識に見てた同じ系統の顔がいっぱいで、 その人たちは私を否定しないっていうか守ってくれる人だって本能的に感じるから、好きっていうか安心とかこの人に受け入れてもらえるそうな気がするとか、好意を持つってことは、そういう日々の見ている目とかなんかあるのかもね。

ゆき

そうだよね、最近姉が結婚したんだけど、すっごい父親に似ててびっくりした(笑)。
なんか雰囲気もすごい似てて、 これが噂に聞いていた、そうか、と思ったけどね。

今のこの年の子供といる時間がすごく大事

ちか

夏休みは全然仕事できないって、子供たちと海によく行ってるとか。
ユキちゃんは本当に子供を1番に考えてるよね、いつも家族を一番に。

ゆき

いやー、そこは普通のお母さんと同じ感覚だと思うけど、でも子供といる時間はすごく大事にしているかな。
今のこの年の子供がすごく大事っていうか、やっぱ長い目で見ると一緒に生活してる時間ってすごく短いと思うから、今のこの8歳と10歳の子供の 1年の夏みたいな、そういうことを考えるとやっぱり少しでも、一緒に親と遊びたいって思ってくれてる時に一緒に遊んであげられるような生活をしたいなとは思うかな。
そう思うと、全く仕事できないんだけど。

ちか

そのバランスとか、自分の「もう今こっちやりたいのに」とかっていう気持ちも、自分を優先しないじゃない?性格的に。
それすごい素晴らしいなと思うし、どうやって折り合いをつけるの?自分の中で。

ゆき

でもやっぱり哲弥(旦那さん)が同じように 自分で仕事をしているから、頼みやすいよね。
お互いそれぞれの仕事もあるから、お互い子供を見るタイミングと仕事をするタイミングと、色々折り合いをつけてできるっていうのは、すごくありがたいことだね。

ちか

協力し合ってしかできないよね。

ゆき

だからほんと、そういう面ではすごく恵まれているし。

ちか

大変なこともあるけどね、お互い。

ゆき

そうだね、それぞれね、でも本当に一緒に子育てしてるた。
多分、日本で言ったらお母さんの方が負担が多い家庭が多いと思うんだけど、 うちは本当に一緒に子育てしてるって感じで、それはすごく子供にとってもいいかなとは思います。

ぬいぐるみを動かしてみたいっていう欲望

ちか

お母さんでもなく妻でもなく、作家でもないユキちゃんが1人残ったとしたら、なんか自分の楽しみとかあるの?

ゆき

楽しみかぁ、好きなこと?
特別これっていうのはないけどやっぱ時間が空いたら、凝った料理を作りたいとは思う。
料理はやっぱり子供がいると時間が限られるから、おいしいもの作りたいなとは常々思ってる。

ちか

いつも遊びに行くと美味しいのいっぱい作ってくれるよね。

ゆき

いや、とんでもないです、本当に素人だけど。
でも、食べ物はかなり美味しいもの食べたいなって思う欲がすごく強いし、子供にもやっぱ美味しいものを食べてほしいなって思うかな。
本当に美味しいもの、ただ野菜だけでもいいんだけど、その野菜でもやっぱり畑でとれたね、今日もおいしいトウモロコシ、畑でとれたのご馳走になったけど、そういう生で食べるトウモロコシとかそういう経験したことのない ことをすると、ものすごく嬉しい。
子供がそういうのを食べるっていう姿を見るのもすごく嬉しいし。

あとは、やっぱりぬいぐるみを今まではずっと作ってきたけど、今あるぬいぐるみをちょっと動かしてみたいっていう欲望はあって。
なんとなくイメージしてるのは、ストップモーションアニメみたいなものをやりたいなっていう希望は持ってる。
そういうのやってみたいなっていうのを考えてるかな、もしたっぷり時間ができたら。

ちか

でも、今からはどんどん手離れていくもんね。楽しみ。
私は個人的に、ユキちゃんの作家とかお母さんとか抜きにしてみた時に、可愛いものが好きだよね。

ゆき

そうだね、可愛いものが好きだね。可愛いものが好き。

ちか

このスカートもすごい可愛くて、これなぁに?

ゆき

ね、これちょっとよくわかんない、ボンテンみたいなのがついてるし、なんだろう、アップリケみたいな。
やっぱり着るものも手仕事のものが好きかな、刺繍とか。
あと花柄が好き。花柄がすごく好き。

ちか

確かに!花柄よく着てる。

ゆき

可愛いものはすごく好きだね。

チカちゃんのソウゾウ性

ちか

ゲストの方に質問してもらうんだけど、なんか私に質問とかありますか?

ゆき

私のチカちゃんのイメージは、すごく自由でソウゾウ性に溢れてて。
ソウゾウ性っていうのは、イメージの想像と創作の創造とどっちも。
だから、なんか急に傘作ったなと思って、思ったら急にもうお店できてるし、お店できたなと思ったら2号店も急にできて、 もう1個お店できて、みたいな。
そしたら急に引っ越して山の中で暮らしてて、 次行った時にはニワトリがいてあと今度来た時はヤギがいてとか、なんかテンポがすごく早いし。

ちか

そしてそのお店も全部やめちゃうしね(笑)。

ゆき

急にね(笑)、なくなってる!みたいな。
でもそれでもどんどんステップアップしていて どんどん進んでる、やりたいことを色々やって。
チカちゃんのその色々考えるバイタリティとか、テンポよく色々進めていくところがすごいなっていうとこだよね。

ちか

でも、例えば私は考えないで「 あ、これやりたい」と思ったらやり始めるんだけど、それと真逆にどうしても考えちゃうっていう人のことも、すごく私は尊敬する。
私にできないから。同じことなんだなと思う。
なんか色々やってどんどんやってすごいねって言われるけど、全然逆で。
やらないことの強さみたいなのもきっとあって、やらないことの美しさもあるし。
だからすごく羨ましいし、躊躇したりとかもすごく人間的で素晴らしいと思うし。
私の場合やらないとダメになっちゃうっていう、ただの性分なだけだと思います。

ゆき

でもどうしても子供がいると、やっぱもうまず大前提として時間が全然ないから。

ちか

それは私にもあるよ。だからこれでもセーブしてる(笑)。

ゆき

すごいね、すごいよ、ほんとに(笑)。
頭の片隅では本作ってみたいなとか、ぬいぐるみを動かしてみたい、アニメーションみたいにコマ撮りで撮影して。
その1つ1つ生み出すところまではやるけど、ぬいぐるみが動いてるところを見たいなっていうのはずっとあるから、本当に随分前からそういうのは考えているけど、でもそれをいざやってみるっていう行動に移すタイミングも全くなかったし、やっぱ頭の片隅でどっか考えているっていうだけで、色々やってみるっていうその行動力がすごいなっていつも思う。

ちか

その辺で言うと、もう私はとにかく紙に書き出す。
あとゴールから考えるっていうか、どんどん具体的なことを書き出してって、これは今できるできないとか。

あとね、これはちょっとおすすめしないっていうかあれなんだけど、私はどうしてもずっと考える癖があるのかもしれない。
寝てても考えてるんだよね、やりたいこととか。
だからあんまり眠りが上手じゃないかも。
もう考えずに寝たいんだけど、すごい常にいろんなことを考えちゃう。

ゆき

若い時って10代とかから色々思い描くでしょう?
それってもう若い学生の時からそういう感じで、 将来こういうことやってみたいとかそういうのを考えてたの?

ちか

そうね、17、18歳ぐらいからずっと、自分が何者かとか何をしたらいいのかなとか、なんで生きてるかとか、人はなぜ生きてるかとか、そういうのを考えるのがすごい好きだった。
一時期は哲学の大学とか行こうかなとか本気で考えたり、フィロソフィみたいな哲学の学問みたいなのが興味あったり。

ゆき

すごく多岐に渡るよね。
興味があるっていう範囲がすごく広いなと思う。話をいつも聞いてると。

ちか

でもすごく自分に繋がってたり、結局ぐるっと回って生活圏だったり、あと年も関係あるのかもしれないね。

ゆき

それがいつもすごいなと思う、いろんなこと考えてるなって思う、本当に。
私が普段考えることは本当にもう、自分と家族の生活と制作の、その2つの柱しかほとんどないから。

ちか

でもそこに結構本質的なとこって詰まってるじゃない?

ゆき

とは思うけど、なんかそれより広い範囲でのその思考の広さがすごいよね。

ちか

欲張りなのかもしれないよ。

ゆき

でも、それがすごくプラスになっているよね。
だからすごくおもしろいね、チカちゃんが作るものって。

ぬいぐるみのオーダー受付は1,2年に1時間だけ

ちか

ありがとうございます、なんだか。
ぬいぐるみは、ボーちゃんだけを受付してるの?

ゆき

ううん、今フレデリックとして出してるのは15体のぬいぐるみがあるんだけど、ただやっぱり今、生地が選べる種類が少ないっていうのは色の種類もすごく少なくて、でも私はくすんだ色味っていうかこのなんとも言えない色がすごく好きだから、グッとくる色っていうのがもうほとんどない状態なんだよね。
それでちょっと今もう作れないぬいぐるみはいくつかあるんだけど、生地があるものは受け付けている。
けど、9割くらいはボーかな!

ちか

へぇー!フレデリックを全体持ってるコレクターとかいるの?

ゆき

どうなんだろう?いたらおもしろいね。

ちか

いたらお会いしてみたいね。

ゆき

意外といないかもしれない、どうなんだろう。
でも注文の度に毎回1つずつ揃えてますっていう方とかもいらっしゃって。
そしたら単純計算で15年以上かかるでしょう。
なんかすごいよね。すごくありがたいし、嬉しいことだよね。

ちか

ボーとかユキちゃんのぬいぐるみを注文したい方は、年に1回か2年に1回ぐらいのペースで、ホームページで1日数時間だけのオーダーできる時間があるんだよね。
それは、インスタとかホームページから教えてくださいって問い合わせをしとけば、情報が得られる?

ゆき

そうだね、(ホームページから)メールでいただいたりとか。

ちか

その数時間にオーダーを。

ゆき

1時間。

ちか

1時間なんだ!1時間で埋まっちゃうんだ。

ゆき

そうだね。
でも、以前よりもゆっくりのペースで作るから。
それこそチカちゃんがアドバイスしてくれて、「ゆっくりでいいんじゃない」って言ってくれて、そうだよねと思って。
以前は子供が生まれても、子供がいる前と同じペースで仕事をしようと思ってすごく頑張ってたけど、そうする必要もないのかなと思って。
だからこそ、今やっぱり子供といれる時間が取れるようになったっていうのもあるかな。

ちか

社会スピードは本当に早いよね。
なんかすぐ返信しなきゃ!とかあるし。

ゆき

だから、ゆっくり自分のペースでいいんだなっていうのに気づかせてもらったっていうところはあるかな。

ちか

今後は、ぬいぐるみが動くアニメーションとか本当できたらいいね。
でもそれを手つけれてないって思ってるかもしれないけど、意外とその考えたり思ってる時間ってすごい大事じゃない?

私も絵を描くの実際5分ぐらいで描き上がるんだけど、その前1か月間ずっとその絵のこと考えてるとかが、その時間が実はすごく大事だったり、実際手を動かすだけが絵を描いてることじゃないような気もしてて。

家族4人でルーマニアで暮らした体験

ゆき

あの、家族4人で子供がまだ5歳と3歳の時に家族でルーマニアに行って、そこで水道もガスもない生活をしていて、すごく村でもかなり古い方の家、漆喰のすごく分厚い壁で古い家に。
シク村っていう小さくもないんだけど ハンガリー人の村で、やっぱり昔の戦争する前の領土がハンガリー帝国の領土だったから、ハンガリー人がたくさんいる村がいくつかあるんだけど、その中の1つの村で。
山に囲まれてるからすごくハンガリーの文化が色濃く残っていて、すごく谷っていうわけでもないんだけど、周りの村とか街に出るには30分くらいかかって。
すごく色濃く残っていて、まだ民族衣装を着て普通におばあちゃんとか生活していて、半分自給自足っていう感じで、 レストランもなくて。

そこで朝起きたら、共同の井戸があって井戸に水汲みに行って、子供と一緒にバケツ持っていって、薪ストーブの薪割りして、その薪ストーブが暖炉の代わりで部屋をあっためて、さらにそこでお料理をするっていう感じで生活をしてて、それがものすごくいい体験だったというか、すごく多分家族みんなの心に刻まれてるっていうか。
日本にはない体験、一昔前の日本の原風景みたいなものを感じられて、すごく良かった。いい体験だった。
なんかそれをぬいぐるみで再現したら、すごくおもしろいなと思っていて。
また行けたら、ルーマニアでそういうのを撮ってみたいなっていう夢を持ってる。
でもやっぱり日本と一緒で、 少しずつ民族衣装を着るおばあちゃんも亡くなったりすると、そのお子さんの代はその価値が分からなかったりとかそういう時の流れもあるから、また早く行きたいなと思っているけど。

ちか

今お話聞いてて、それって本当に実感できないことじゃない?
朝起きて水を汲むとか、それってちょっとバーチャルな感じすらするぐらい遠い距離を感じて、 でもすごい今、話としてはおもしろいなと思ったのが、 ぬいぐるみもバーチャルだけど実際目に見えたリアルじゃない?
その生活との距離とか生活感の距離とか、それをリアルなバーチャルのぬいぐるみが表現するとかって結構おもしろいかもね。

ゆき

おもしろいよね。なんか不思議な感じだよね、多分。

ちか

もうなんか本当物語の中で、おばあちゃんが川で洗濯をしました。

ゆき

ほんとに、でもほんとに川で洗濯してるのよ。
ほんとに川で洗濯するんだ!って思ったの。すごく感動して。
でもおばあちゃんにとっては「洗濯機じゃ綺麗に洗えないでしょ」っていう感じ。
やっぱ自分の手で洗濯板で、その洗濯板もすごく可愛いの。
木彫りのお花模様が彫ってあったりとか。
昔は男性が木彫りをして、女性にプロポーズする、言いよるのに、その木彫りの洗濯板プレゼントするっていう風習があったりして。
だから古い家にはすごく可愛い洗濯板がいっぱいかかってたりして。
そういうのもすごく素敵だね。

ちか

子供たちが帰ってきましたね。じゃあこの辺で。
今日のゲストはフレデリック、ぬいぐるみ作家の貝戸由希さんでした。

ゆき

ありがとうございました。

ちか

ありがとうございました。

貝戸 由希(かいと・ゆき)

WEB site「プレッツエル」
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