Vol.8 夢や懐かしみを音楽にする with権頭真由さん

ナマステ〜みなさんお元気でしょうか?
今回のエピソードは、すごいです!
お届けできるのとっても嬉しいです。

コシラエル本店の動画をご覧になったことおありでしょうか?
商品とお店の紹介の為に動画を制作したことがありまして、その映像に音楽を作ってくれた方が本日のゲストです。
お気付きになられた人ももしかしたらいらっしゃるかもしれないけど、気付いたらすごい!
実は、その音源が毎回ラジオの冒頭とエンディングで流れている楽曲なんです。
ラジオ始めるときに編集作業で合わせてみたら、とってもぴったりでこんな風にまた聴けることが嬉しいなと思っております。
ではお聞きください。

ピアノ生演奏〜約1分半〜
(音声ラジオで聴くことができます。このページいちばん下のリンクよりぜひ聴いてみてください)

ピアノに「こんな夢見たんだよ」って報告しながら弾いてる

ちか

皆さん、お気付きになりましたでしょうか。
今日のゲスト、権頭真由(ごんとうまゆ)さんです。
よろしくお願いします。

まゆ

よろしくお願いします。

ちか

なんと、生演奏のスタートです!
ちょっとバージョンを変えてくださったんですよね。

まゆ

そうです、そうです。

ちか

素敵だったよ、ありがとうー。
今日は長野県の四賀村というところに私、お邪魔しております。

まゆ

ようこそ、四賀村へ。

ちか

私、実は2回目だよね、まゆちゃん家来るの。
あの時、寒い日だった気がして。

まゆ

寒かった。ストーブの上でリンゴを焼いていた。

ちか

それで急にピアノ弾いてくれたり、ドラム叩いてくれてセッションしたんだよ。
覚えてる?

まゆ

そうそうそう、お子たちが全員来てくれて。

ちか

急に遊びだしたよね、みんなで。

まゆ

懐かしいな、シュークリーム食べて。

ちか

あれ、なんで来たんだろうか?
ただ遊びに来たのかな、私。

まゆ

松本にご用事があってって、言ってた気がする。

ちか

そっか、私は思い出せないぐらい、まゆちゃんのことはなんかずっと知ってて。
多分、結構若い時に知ったんだよね、そういう音楽家がいるって。
忘れられない名前じゃない、「ごんとう」って。
で、なんだかいつの間にかこんな風になったね、私たち。

まゆ

ね〜、ありがたい。

ちか

移住したのも大体同じ時期だよね。

まゆ

そうなんですよ。

ちか

バリバリの東京生まれ東京育ちだよね。

まゆ

ですです。

ちか

品川のお嬢様だもんね。

まゆ

いやいや、江戸っ子です。

ちか

まゆちゃんのCDが昨年出たじゃない?
あれをよく私、 自分のアトリエで聴いてるよ。
ずーっとループしたり1日ループしてても聴き飽きないから、作業してる時とか結構聴いてる。

まゆ

ありがとうございます。
あれは即興演奏だから、自分の夢を「ピアノにこんな夢見たんだよ」って報告しながら弾いてる即興だから、もう自分ではあの通りには弾くことはできなくて。
その音を閉じ込めちゃったっていうか。
アルバムにするには、アルバムでしかできないことをやりたくて。

ちか

朝起きたら弾くの?夢を思い出しながら。

まゆ

そういう時もあるし、ピアノ練習する時とか飽きた時とかに、即興で。
夢だけじゃなくて、なんかかけがえのない瞬間ってあるじゃないですか。
でも、チカちゃんだったら絵に描くのかしら?そういう時。

ちか

そうだね、だからすごい綺麗でとどめておきたいな、とか。
なんてことないことでもあるんだけど「あ、今日夕日綺麗だったな」とか。
でも絶対記憶では薄れてくし、それを再現することは難しいんだけれども、保存したい遺伝子あるらしいね、人間に。
日記を書き留めるのもそうらしいんだけど、なんか記録したいっていう本能みたいなのあるらしくって。
それなのかわからないけど、言葉にもできない、伝えることもできない、伝えるほどでもないみたいなことを、たぶん絵にしたくなってしまうのかもしれない。

まゆ

それが私にとってはピアノに報告ってことで、それがもう消えてってしまうもので、それで良しとしてたんだけど、一緒に住んでる夫が「これをちょっと形として残してもいいんじゃないか」って言ってくれたことがきっかけで、その気になったアルバムなの。

ちか

それが、初めて出した?

まゆ

ソロはそうです。

イスラエルの世界的なアーティストに描いていただいたジャケット

ちか

そうなんだね。
タイトルとどこから出てるかぜひ教えてください。

まゆ

夢みる耳は夜ごと月を包む」というタイトルでシアタームジカから、昨年2022年の3月に発売されました。
阿部海太郎さんがやられているレーベルで、ものすごく信頼している音楽家でとてもいろんな機会をいただいて、 海太郎さんのおかげで音楽の世界も開けてると思うから、私にとってとてもありがたい存在で、そんなレーベルから出せてとても嬉しいです。

ちか

皆さん、是非聴いてみてください。配信もやってるの?

まゆ

そうなの。私はそういうの疎いんだけど、レーベルでやってくださって。
SpotifyとかApple Musicとかでも聴けます。

ちか

そのジャケットが印象的で、その話もちょっと聞きたいんだけど。

まゆ

絵を描いてくださったのは、インバル・ピントっていうイスラエルの世界的なアーティストで、ダンスや美術・衣装も手掛けるマルチなアーティストなんですけど、 きっかけは「100万回生きたねこ」っていうミュージカルの演出、振り付けを彼女がするときに。

ちか

あ、女性だったんだ!?

まゆ

そうです、そうです。

ちか

私、絵だけ見てたから男性かと思ってた。

まゆ

あ、ほんと?
インバルはアブシャロムっていうパートナーと一緒に2人で活動していて、その時。
2人で来てたんだけど、 アブシャロムもとっても素敵な方なんだけど、インバルとは心で会話できるようなそんな存在で、そう、彼女に描いてもらいました。

ちか

そうなんだぁ。
性で分けちゃいけないと思うんだけど、なんか勝手にだけど、すごいヒゲモジャの大きな男の人のイメージがなんでかあった。

まゆ

ほんとに?でも包容力はとってもある女性です。
で、私の夢の話を元々インバルがおもしろがってくれてて、 会うたびに「最近おもしろい夢見たか?」とかよく聞いてくれて、それもあってインバルに頼みたいなと思って。
私のおぼつかない英語で頑張って「こんな夢を見たんだ」って説明して、メモも渡して、1曲ずつ。
7曲入ってるんですけど、 1つずつに絵を描いてくださって。
それが本当に素晴らしい鉛筆画だったから、 それをぜひアルバムのメインに据えたいって思いで、デザイナーの方と一緒に相談して作ったの。

ちか

しょっちゅう聴いてるよ。

まゆ

嬉しい。

ちか

イスラエルだから今すっごい胸が痛いね。心配でしょう。住んでるらっしゃるの?

まゆ

住んでる、住んでる。
どういうタイミングでどういうふうに連絡していいものかも、ちょっと分かんない感じなんだけど。

ちか

私も今日来る時にニュース聞きながら来て、なんか悲しくなっちゃって、だんだん。
どうもこうもできないっていうか、怒ることもできない、もう悲しむことぐらいしか、感情的にしかなれないと思って、なんかぼんやりしちゃって。
でも四賀村に着いたらおばあちゃんたちが日向ぼっこしてたりして、 なんか日常とすごい重い現実みたいなところが…。
そんなこと考えながら来た。
で、またここでイスラエルっていう言葉が出てきて。

イスラエルで体験した非日常

まゆ

そうだよね。
なんかイスラエルってこう言っていいのかな、「目には目を」みたいな日常的にもそういうふうに思ってる方って意外といるんだなっていう感じで。
でもやっぱり文化素晴らしいし、すごく自給率も高い国で、本当になんでも自国でつくっているし、すごく豊かな資源もあるし、頭のいい方もいっぱいいる。
私の好きなダンスもすごく発展している、とても魅力的な国なんだけど。
うーん、どうなってしまうんだろうなっていう不安はありますよね。

私、イスラエルに何度か行ってて、初めて行った時に危ない状況になっちゃったの。
その時に町中でアラームが鳴って、インバルに教えてもらったんだけど「このアラームが鳴ったら地下に避難しなさい」って言われて。
20代だったかな、まだ。だから、10年前ぐらいかな。
で、シェルターがあるからそこに今滞在している場所のみんなと一緒に隠れなさいって言われて。
周りの人に聞いても大丈夫って言うまで出ちゃダメって言われて。
そんなことが…だって防空壕でしょ。
そんなことがあるなんてと思ったけど本当にあって。

ただ自分の国ではないっていう、そこにいるのにちょっと人事みたいなすごく薄情な自分もいて、危機感がそこまでないんですよね。

ちか

でもその時シェルターに入って、いつ出れるんだろうとか怖くなかった?

まゆ

怖いんですけど、ちょっと劇場の出来事みたいな、イスラエルにいること自体が非日常というか、自分にとっては 劇的な出来事で、その中の一場面みたいな感じがしてしまって、ちょっとそれに慌てふためきました。
ところが、その後帰ってきたら 夏だったんですけど、花火大会があったの。近くで東京で。
そしたら、 花火大会のドーン!っていう音と、救急車のサイレンにすっごいドキドキしちゃって。
イスラエルではなんともなかった本当の怖さみたいなのが、花火と救急車って分かってるのに、なんか自分の国にいたらイスラエルの戦争のことがちょっとフラッシュバックしちゃって、すごい恐怖になっちゃって体が固まるみたいな経験があって、なんか不思議でした。

ちか

大変な時、人間って結構バグるというか、時差があるのかもね。
当事者意識ってその最中にいる時は、大変な時って結構分からないっていうか、振り返ると結構な大変な場所にいたんだとか。

まゆ

そうなのかもしれないですね。
あとやっぱどっかで自分は大丈夫だろうみたいな意識が、なんか当時の方があったような気がして。

ちか

でもそれは自分を守る能力なのかもね。
(自分自身を)落ち着かせているのかもしれないね。

まゆ

かもしれないですね。

ちか

心配だね。心配することしかできないけど、もうほんといい加減にしてほしい…。

まゆ

そうですよね。

ちか

なんか寂しい話になっちゃったけど。

まゆ

うん、でも考え続けていきましょう。

ちか

やっぱり大事!と思って、私も大きなテーマの1つに今そういうことを考えたりもしてて。同時にそういうことばっかり考えるとやっぱ目入っちゃうから、 人間には音楽とかやっぱりすごく必要だなと思って、芸術とかってなんだろうとか、その役割とか思ったりする。

行ってきます!って感じで寝るの

ちか

あとさっきCDが夢から派生したものって言ってたじゃない。
私すごい今、眠ることに興味があって、私、眠るのが下手くそなのね。

まゆ

ね、言ってたね。

ちか

人が眠るって結構おもしろい行為っていうか、意識がなくなるわけじゃない?
それなのにすっごい悲しくなったり怒ったり笑ったり、下手すると痛い気持ちにまでなるじゃん、痛くないのに本当は。落ちる!とかも思うし。
それって身体と脳みそみたいな話とかにも繋がる話だと思うんだけど。

まゆ

最近は?白黒の夢ばっかり見るって前おっしゃってた。

ちか

そう、私はカラーじゃないの、白黒、ずっと。

まゆ

不思議、そっか。
じゃあ、もう全然違う世界として認識できるのね。

ちか

でも夢って思ってたり、思ってなかったりもする。
まゆちゃんは、夢は夢なの?

まゆ

両方あるよ。 だけどすごく細かいの、夢が。
だからもう、行ってきます!って感じで寝るの。

ちか

いいな、それ(笑)。

まゆ

夢の世界に行ってきますって。
でも現実の1時間よりもたぶん夢の方が3、4時間分を経験したりしてるから、すごい疲れちゃったりもするんだけど、でも満ちてる、起きると。嫌な夢もすごく見るけれど。

ちか

夢で飛べる?

まゆ

飛ぶこともある。

ちか

私、飛びたかったら飛べる時があって。
でもちょっと頑張るのよ。飛ぶぞ!みたいになる。
で、すっごい高いところまで行ってもう宇宙ぐらいまで行って、全部が見える時とかもあるのね。だから世界中が見えたりするの。

まゆ

えー、楽しいじゃない。

ちか

すっごい楽しいの。
怖いことがあると、とりあえず飛ぼう!とか思う、夢の中で。

まゆ

へぇー!いいじゃない。素敵。
私は飛ぶ時、水中みたいな感じでちょっと抵抗があって、んーん!っていう。

ちか

あ、抵抗あるある。

まゆ

水の中、結構好きで泳ぐのも好きだけど、でんぐり返りしたり逆立ちししたりとかするんだけど。

ちか

寝相悪いの?(笑)

まゆ

バンザイしてることが多くて、手踊りしてるって言われる。

ちか

起きたら、バンザイしてるの?(笑)

まゆ

今ちょっと寒くなってきたでしょ。だから手が寒くて一瞬目が覚めるの(笑)。
でも多分これは体の都合だと思う。肩甲骨を伸ばしたい、夢の中で。
私、結構手踊りしてるらしくて、寝ながら。
手を垂直にあげて、サァ〜って手を撫でたりしてる踊りをたまにしてるんですって。

ちか

してるって見たの?

まゆ

きみや(夫)がよく見てる。

ちか

きみやっていうのは、まゆちゃんの旦那様です。

まゆ

うん、隣でいつも寝てます。
最近寒いから、手が寒いから手が出てるなと思ってちょっと目が覚めて、また入れるの、布団に。

空を飛ぶっていう夢

まゆ

でもその飛ぶっていう夢について、よく考える機会が最近もあって。
っていうのは、さっきのアルバムを携えて旅に出たり演奏会に行くときに、あのアルバムは即興だからそのまま再現するにはあまり楽しくないなと思って、お客様の夢を書いていただいてて。

ちか

そうそう、私も参加したことがあって、来たお客様に最近見た夢とか印象的だった夢を書いてもらって。
まゆちゃんがあてずっぽうにパッて開いて、その場で1曲ずつ演奏するっていう。
すっごいあれ、素敵だったね、ちっちゃい子とかもいて。

まゆ

楽しいんだよね。 それでやっぱり何人か空を飛ぶ夢を書いてくださる方がいて。
そういう人たちに話聞いてると、小さい頃の方がよく見たとか、本当に色々。
怖い思いをしたりとか気持ちいい人とか色々いるんだけど、こんなに人っていろんな生活しててそれぞれなのに、ある一定数の人が空を飛ぶ夢を見てるってやっぱなんかあるよね。

前読んだ本の受け売りでもあるんだけど、赤ちゃんの話ね。
赤ちゃんっていつでも空を見てるでしょう。
天井でもあるけど上をいつも見てる、生まれたばっかりで座れない時は。
それでいつも自分が見上げているところでいろんなことが起こっていて、自分は泣くことでお母さんに何か訴えたりするのに、自分が見てる上の世界は、大人たちは泣かずに触らずに何かを動かしたりとか何かを伝えたりしてるって、すごい不可解な出来事、赤ちゃんにとって。

だけどその不可解だけども不思議、自分には理解できないことを目や耳や鼻で感じた時に、空を飛ぶ夢を見るんじゃないかって言ってる人がいて。
それはちょっとそうかもしれない、上を見て不思議な出来事が起こってるっていう。

私たちも普通に大人になってからも、理不尽だなとか不条理だなとか本当によく分からないこととか、理解したいけれどもどうしても分かり合えない人とかいるでしょう。
そういう時にどうしてだって、突き詰めて解決するまで寝なかったら大変じゃない。
まぁいっかって思ったり、まぁしょうがないかとかまた明日考えようとか思って寝た時に、そういう空を飛ぶ夢を見るのかもしれないなと思って。
そうすると、 赤ちゃんのとき自分にはよく分からないことが起こりまくっている世界を、受け入れる術(すべ)のひとつとして空を飛ぶ夢があるんじゃないかなって思うと、すごい人間って愛おしいなって。

ちか

寝ること自体がそうなのかも、空を飛ぶっていうことも含めて。
寝ること自体が、脳のリセットとかお掃除って言うじゃない?
確かにそれで1日1日成仏じゃないけど、浄化させて次に明日に挑めるのかもね。

で、 起きないってことはもう死ぬことじゃない?
毎日死を体験してるじゃないけど、それがあまりにも普通な出来事って思うけど、私たまに思うんだけど、朝起きて「あ、昨日とちゃんと繋がってる!」って思うの。
昨日ちゃんと今4歳の娘が寝てて、それが1歳とか逆戻りもしてなくて未来に進んでもなくて、ちゃんと昨日と今日が繋がってるのが不思議!とか思うの。

こんな話すると、何言ってんだ〜とか思われるような些細な自分の謎なんだけど、でもすっごくそれが不思議なことじゃない?
無意識に自分の身体もどこにあるかももすらも分からない世界に1回行くじゃない?

まゆ

そうだね、おもしろいよね。
寝る時ってどういう格好で寝るんですか?

ちか

私はシルクのパジャマ。

まゆ

あー、シルクのパジャマ!上向き?

ちか

私、肩こりだから上向いて寝てるんだけど、何が正しいか分からなくて、どういう体勢が良いのか。
ずっと同じ格好はできないから、横向いたり右向いたり、うつ伏せはなかなかしない。
なんか首のしわが気になるとか(笑)。

まゆ

関係あるんだね。

ちか

美容にいい方法っていう理由で、枕も高すぎるとここ(首)にシワが!私もう40歳だから(笑)。

まゆ

いやいや、私もうすぐですから。

ちか

だから、枕の高さも本当はもうタオルぐらいの厚さがいいとかも言う人もいるし。
でも顔がむくむからちょっと高くして、でも首が凝るし何が正解か分からない。

まゆ

私はやっぱなんか胎児の格好で寝るのがすごい好きで。

ちか

胎児っていうと?

まゆ

膝を抱えて。

ちか

(膝を抱えて)こうやって寝るの?

まゆ

そうですそうです。

ちか

これ、ラジオじゃ見えないね。 こうってこと?

まゆ

それで横向いて。そうそうそう。

ちか

あ、体操座りの横向きで寝るってこと?

まゆ

そうそうそう。
で、なんかお腹が圧迫されてるのが好きで。
タオルケットをギューってして、すごい丸まってギューって寝るのが好きなのね。
でも気付いたらバンザイしてるし(笑)よく分からない。

ちか

赤ちゃんも結構バンザイする!

まゆ

そうですよね!

SNSじゃなくて、勝手に想像するのが好きなの

ちか

人間のほとんどが寝てるって言うじゃない?生まれてから死ぬまで。
それもおもしろい話だなと思って。

まゆ

嬉しいよね、嬉しくない?

ちか

うん、寝るっていうおかしな毎日の行為だよね。

まゆ

ほんと楽しいと思う。だって会えない人とかにも会えるし。
チカさんのメルカリダメだったって話も聞いて、分かる分かるって言ってたんだけど、SNSも私はダメで。
っていうのは、例えば今会わなくても誰が何してるかってすぐに分かっちゃうじゃない?
それ全然必要なくて「チカさん今何してるかな」とか「あの子今どういう仕事してるのかな」とか思うのが好きなの。
それがなんか会ってなくても良くて、勝手に想像したりして。
それがすごく好きだから、そういうこと考えていると結構夢にその人出てきたりするでしょ。

ちか

するよね。

まゆ

そうそう。そういうのが本当に楽しくて。
やっぱ全部「あ、そっか、今ここにいるんだ」とか「あぁ、子供生まれたんだ」とか分かっちゃうと、 その楽しみがちょっと減っちゃうような気がして、やらないんだ。

ちか

それね、すっごくいいと思う。
やっぱり変な世界だもんね。

まゆ

うん、ちょっとそうだよね。

ちか

切り取られてるし、見せたい部分だけ本人が見せてくじゃない?

まゆ

スマホを手にしたのも、たぶん一般的にはかなり遅くて。

ちか

最近だもんね。

まゆ

そうそう、初めてこんなに綺麗に撮れるんだぁと思って。
目で見てるよりもパッキリして撮れるでしょ。
だからすごい生ごみとか撮ってて、剥いた柿とリンゴの皮がグチャってなってるのとか撮って、「わぁ、すごい。なんか全部がパキッとして見える!」と思って、「あぁ、人々はこういうのをインスタにあげるのか〜」って言ってたら、夫がそんなもんあげないよって言ってて(笑)

ちか

そういうところがまゆちゃんっぽくて素敵だなと思うよ。
「人々はこういうものあげるのか」!!!(笑)

まゆ

あげないみたい(笑)。
スマホで初めて撮った映像が、うちの柱にカメムシがいて蜘蛛が糸で巻いてたの。
カメムシはまだ生きてて、果敢にもがいてるの。
それを5分ぐらい映像撮って「どう?こういうのFacebookにアップするのかな〜」「いや違う」みたいな。

嫌な懐かしさを変換しちゃう

ちか

まゆちゃん、なんか話したいことがあるってさっき言ってなかったっけ?

まゆ

えっと、おやつの話もしたいし、あと懐かしいっていうことが自分にとって結構重要で、いいも悪いもなんだけど。
チカさんに聞きたいのは、穴に入りたいぐらい恥ずかしい記憶とかってありますか?

ちか

あるよ。

まゆ

それってどうしてますか?
フッとした時に、こう覆いかぶさってくるじゃないですか。

ちか

それって道徳的に恥ずかしいってこと?
それとも行為として自分の笑い話にもならないようなこと?
それとも後悔みたいなこと?

まゆ

うーん、色々。
後悔じゃないな、後悔はちょっと違うかも。
なんであんなことしちゃったとか…あー、でもそれも後悔かな。

ちか

それはちっちゃい時に人を傷つけたりして、とか?

まゆ

そうそう。

ちか

そうだね。なんかやっぱ教訓にするしかない気がして。
失敗とかその後悔をただ沸々と持ってたら持たないじゃん、自分が。
後悔ばっかりしてたら。
その後悔とか悔やむことを生かすことに、なるべく考え方を変えるようにしたい。
だから正直にあの時こういうことをして今悔やんでるっていうことを、同じように子供たちが例えばした時に「実はママもそういうことあったよ」って「今すっごいこんなにも後悔してる」とか「人にこんな言葉をかけてしまってすっごい後悔してる」とか。
だから人に言ったりとか、それに耐えられない時はなんでも結構話すのが旦那さんなの。
友達でもありパートナーみたいな人なんだけど、なんでも話せる人だから「ふと思い出して、それについてすごい反省しちゃうんだけど」とか話す。

まゆ

話すのね。

ちか

話すの結構いいと思うけどね。

まゆ

私も結構夫に色々話すんだけど、ふとした時に嫌な懐かしさが襲ってきた時に、なんだろうな。
子供にピアノ教えたりしてるんだけど、そんな資格もなければ、こんな真珠のネックレスなんか身に着けてる資格ないよ、みたいな感じになっちゃうのね。

ちか

もっと自分をぎゅっと抱きしめてあげて。
過去があるから、今生きれるじゃない。
あとさっきの夢の話じゃないけど、人間って忘れられるから生きていけるんだって。
なんでもかんでも覚えてると、やっぱり背負いすぎちゃって精神的に持たないんだって。
だから忘れるっていうこと。忘れられないことは流す。

まゆ

あとやっぱり変換しちゃうの。

ちか

どんどんおっきくなっちゃう?

まゆ

いい物語にしちゃうの。

ちか

でもそれいい才能じゃない?

まゆ

どうしたって自分が悪かった出来事も、それをなんか悲しさに変換して若干美しい物語みたいにしちゃうの。嫌じゃない?

ちか

でも誰も傷つかないじゃない。
それがまゆちゃんの消化の仕方なのかもしれない。
自分で自分を責めなくていいと思う。

まゆ

そう?「なんかごめんなさい」っていうこととか結構あるよ。

ちか

あるよね。人ってやっぱりあると思うよ。

まゆ

「違うんだよ、ほんとは」みたいな。

ちか

いっぱいあるよ〜私だって。
だって、すごい人を傷つけたこともあるし。

まゆ

えぇー、信じられないけど、そうなのね。

いい懐かしみ♡はどうしたらいいの!

まゆ

あとね、でもいい懐かしさもあって、これはどうしたらいいの?
におい玉とか持ってた?

ちか

持ってた持ってた〜!

まゆ

あれとか「も〜どうしたらいいの〜〜〜♡」っていう気持ちになっちゃうの。
どうしたらいいの?

ちか

その愛おしさみたいなところ?

まゆ

そう、、、♡

ちか

もうひれ伏せばいい。

まゆ

ひれ伏せばいいかな!なんだろうね。

ちか

今におい玉って売ってる?

まゆ

あとであげる♡

ちか

笑!現行で発売のものあるの?

まゆ

きったな〜い文房具屋さんとかに、あ、すいません、あるの!ホコリかぶって。

ちか

どんなパッケージで売ってたっけ?

まゆ

前はプラスチックの透明の四角とかハートとかの中に詰まってたりして。

ちか

大体みんな筆箱の中に入れてるよね。

まゆ

入れてたー!噛んだりしてた?

ちか

噛んではなかった(笑)。
なんか鼻の近くに置いといた。

まゆ

わかる♡

ちか

なんだろう、あれ、におい玉って。
ちっちゃいグミみたいな感じだよね。

まゆ

そうです、そうです。
ああいうのとか、あとキュウリ花って分かりますか。
ちいさーい青い花で、茎潰すとキュウリの匂いがするんだけど、すっごいちっちゃい青い花なの。
今咲いてない、春。

ちか

オオイヌノフグリのこと?

まゆ

もっっとちっちゃいの。
3つワンセットで大体咲いてて、それを爪にアラビア糊つけて、それをここに置いたりしてたの。 注)きゅうり草のことでした

ちか

あ、なんか懐かしい、その感じ。

まゆ

でしょ?そういうのって、もう〜♡どうしたらいいの??♡
私は日々小さい子と音楽をやる機会に恵まれてるから、その懐かしい時代の女の子たちに毎日会ってるから、なんかふとしたことで音楽と関係ないこととかでも、彼女たちが使ってるローラー消しゴムとか見るだけで、んん〜もう〜〜♡ってなっちゃって。

ちか

ローラー消しゴム懐かしいね♡
こう入ってくんだよね、消しゴムのカスが。

まゆ

一生懸命やってたじゃん、なんか♡

あの感覚を音楽にしていく

まゆ

一生懸命だったこととか、本当に小さいものにぐ〜って入っていくあの感覚とか思い出すと、いや〜やっぱりこれは私にとっては音楽にするしかないんだろうけど。
「あぁ、どうしたらいい??キャピー♡」ってなるし「ん〜もう苦しい〜♡愛おしい〜♡」みたいな。

ちか

それはもうまゆちゃんの架空(の世界)っていうか、なんだろうね。

まゆ

ねぇ、なんかもうどうしようもないの!どうしたらいいんだろう。

ちか

どうもしなくていいと思う。

まゆ

いいのかなぁ、たまにこうやって分かってくれる人に話せば。

ちか

ただただ、拝めばいいんじゃない。
白洲正子が、野生のリンドウが咲いてて思わず拝んじゃったんだって。
だからたぶん信仰心みたいな感じなんだと思う。
心のよりどころであり、音楽が宗教的な神みたいなのじゃないの?
花の中にあったり、まゆちゃんの場合におい玉の中に(笑)。
懐かしみの中に、その信仰心と心が清められる安らぎの場みたいなのがあるんじゃない。
懐かしみもありつつ、胎児の中にいる、教会みたいなものじゃないの?癒しの場っていうか。

まゆ

そういう時に、うまく言えないんですけど「はいはいはい」みたいな感覚もある。
分かります?
なんか「うー懐かしい♡う〜愛しい♡」って中に「はいはい」って、なんていうの?

ちか

「あ、知ってる知ってる」みたいなこと?
「分かった分かった」みたいなこと?

まゆ

うん、「分かった分かった」「そうですそうです」っていう感じがあって。
小さい頃から連綿と続くその記憶とか、自分が大事にしてたこと、やり続けた音楽とかが、なんかその懐かしいっていうことを鍵にして、何か分からないの。
でも、すごく分かった気分になる。

ちか

分かる分からないも1つまゆちゃんの中でポイントで、永遠とこの人と分かり合えないっていう平行線と、100言葉を重ねても分かり合えないものと、言葉を重ねなくても分かり合える。それが結構あるんじゃない?
言葉じゃないところでもう「あぁ!はいはい、分かる分かる。それそれ!」みたいなことなのかもね。

まゆ

そうなのかな。
それはいい懐かしさのほうね。

ちか

でもいいも悪いも背中合わせだから、全部。
その悪いことも全部 ひっくるめていいと思うよ。
だから今それを絶対やることはないだろうし、悪い懐かしさの部分。
もし同じような状況になった時には絶対たぶんやんないと思うし、だから今のまゆちゃんはそれでできてるんだと思う。

まゆ

そうか、、ありがとうございます。

ちか

とんでもない!なんか私偉そうでやだな(笑)。

まゆ

後でちょっと書き留めとこう。

ちか

でも、よくそのことを言語化できるのすごいなと思う、そのぼんやりとした。
だからたぶんすごくそれについて考えてるんだよね、きっと日々。

まゆ

そうかもね。

ちか

意外と素通りしちゃうじゃない?みんな。
懐かしいー!ぐらいで。

でもまゆちゃんは「この懐かしさでぐっとくる、これは一体なんなんだろうか」みたいなことを抱き続けて、そこの問いに自分と対峙してるわけじゃない。すごいよ。

まゆ

ね、なんか名前つけようかな!その感じに。

ちか

まゆちゃんおもしろい。。。(笑)

蒸しパンとドーナツがすごく大事な存在

ちか

もうね、あっという間にお時間になっちゃった。

まゆ

ほんとだ、おやつの話できなかった。

ちか

いいよ、好きなおやつ何ですか?

まゆ

あのね、蒸しパン。
蒸しパンすごい好きで。

ちか

へぇ〜作る?よく。

まゆ

作るんだけどね、あんまり上手にできない。
ちょっと固くなっちゃったり、もっとふわっふわのがいいんだけどな。
でもそれも懐かしさとたぶん直結してると思う。
大事なおやつ、結構 なくなっちゃったりすると本当に辛いよね。どうしてだろう。
なんですか?好きなおやつ。

ちか

私、おやつ、あんまり食べないかも。

まゆ

えっ!どうやって生きてるんですか。

ちか

いや、好きだけど、おやつっていう時間を作ることが目標ぐらい。

まゆ

えー!信じられない!

ちか

鼻の穴が膨らんだ!(笑)

そうね、おやつね、好きなお菓子とかはいっぱいあるけど。

まゆ

そっか、じゃあもう作業の間にちょこっと食べたりとかはあるけど。

ちか

あるけど、なんかもうこれがないと生きていけないみたいなのはあんまないかも。
本当に朝から晩まで走って終わるみたいな感じなんだよね。
おやつの時間が、何時ぐらいに取れるの?15時ぐらい?

まゆ

そういうのじゃなくて、もうなんかおやつだけでも良くて。

ちか

ご飯がいらないってことね。じゃない?

まゆ

うん、ごはんもいる。
だけど「あ、あとであれ食べよう♡」とか、そういうのよく考えてる。
それで蒸しパンとあとドーナツがすごく大事な存在。

ちか

そっかそっか。 私ね、もらって冷蔵庫に入ってて嬉しいなとかはあるけど、毎日それはないかも。
逆に私、ほらお酒飲むからお酒が楽しみっていうのはあるけど、でも飲まなくても平気なんだよね。
だから甘いもの食べたいと思ったら、あんことかをただ煮といてあんこをただスプーンですくって食べるとか、はちみつ舐めるとかかな。 そのぐらいなんだよね。

まゆ

あらー、そうなのね。

ちか

でもなんかあるかもね、自分の大事なおやつって。

まゆ

味覚、甘さって1番最初に感じるんじゃなかったかしら、甘みが分かるんじゃないかな。
それ聞いて、甘さにもっと寛容になっちゃって「よし、じゃあ朝は甘いものに目覚めて、夜も甘いもので締めよう」って思ってた時期もあったな。

ちか

いやーもうまゆちゃんのそういうところが、素敵だなぁと思うよ。

まゆ

そうかい?

ちか

うん、そうだよ(笑)。
なんかもっと色々話したかったんだけどな。

まゆ

いっぱいありますよね、話すべきこと。

ちか

話すべきこと、いっぱいあるね。
また第2回もぜひお願いします。

クリスマスに松本でコンサート

ちか

あ、そうそう、話しながら1つ思ってたんだけど、毎回このラジオの冒頭でゲストの紹介をするんだけど、紹介をしてなかったわと思って。
みんなまゆちゃんが何をしてる人かっていう話を今していい?

まゆ

わぁーしてほしい!誰かにしてもらうのが一番嬉しい。

ちか

みんなよく分からないままたぶん今まで聞いてくれたんだけど、最後にまゆちゃんがどんな人か話すね。
まゆちゃんは、肩書きが間違ってたらごめんね、「音楽家」?

まゆ

うん、正解。

ちか

「ピアニスト」。
あと「子供のピアノの先生」もしている。
以上?職業としてはね。

まゆ

うん、作曲とかもするし。

ちか

そうだね。歌もたまに歌うよね。

まゆ

うん、歌も歌う。

ちか

お芝居で歌ってた時もあるよね、双子の役で。

まゆ

やったね、さっき言ったインバル・ピントが演出した「羅生門」っていう。
青葉市子ちゃんと双子の役で、背中合わせで歌ったりしたね。

ちか

結構歌うの珍しいなと思うんだけど。

まゆ

バンドをやってた時は割と歌ってたね。あとデュオとか。
ソロだとなかなか 歌わないけど、うんうん、歌います。

ちか

リンクも貼っておくので、みなさん音楽活動もぜひご覧になってください。
近々公演のお知らせとかある?

まゆ

クリスマスの時期に、四柱神社っていう神社が松本にあるんですけど、その前の広場でクリスマスマーケットが出るんで、私のお友達、四賀村在住の小林さんっていうアーティストが素敵なツリーを作ってステージも作ってくださって、そこで「3日満月」のコンサートがあるの。

*12/24 長野県松本市にある、四柱神社前の枡形広場で開催される「トワイライトスクエア」というイベントです。

ちか

「3日満月」の説明もしてないんだけど、お願いします。

まゆ

そうね、「3日満月(みっかまんげつ)」っていうのは音楽デュオで、私と夫の佐藤公哉の2人組のデュオです。
アコーディオンと歌、それからバイオリン・パーカッション・歌のデュオです。
それが12月24日に、お外だからあったかくして聴きに来てほしいです。
おいしいクリスマスのホットワインとか、ちょっとしたマーケットも出るしいい雰囲気で、その前の日の23日は、私がお教室で教えている子供たちの合唱を同じステージでお昼ぐらいにやる。
それは「みみをすます合唱隊」という名前で、冬とか雪の歌を小学生の女の子たちと一緒に歌います。

ちか

なんか歌うのに「耳を澄ます」ってまた素敵だね!

まゆ

そう、「みみをすます音楽教室」っていう教室にしてて、聴くってことが1番大事だよねっていうとこからスタートしてる教室です。

ちか

私も絵を描くっていう行為の前に、まず観るっていう行為が先なんだよね。

まゆ

そうだね、私は「聴く」なんだよな。
なんか同じものでやってみたいですね。
ここにあるアップルパイを私は聴いて、チカさんは見て何ができるかとかね。

ちか

いや〜ありがとう。
話し足りないけれども、終わりにしないといけない。
今日のゲストは、権頭真由さんでした。
ありがとうございました〜!

まゆ

ありがとうございました。

権頭 真由(ごんとう・まゆ)

ピアノ、アコーディオン、うた。
東京生まれ。長野在住。
音楽を通して世界と対話し、あらゆる美しさに花を添える。
3日満月、momo椿* 、表現(Hyogen)、Lupe∝などで作曲、演奏を行う。人形劇やサーカス、ダンス、映画などの分野との共作が宝もの。
また、誰もが音楽を楽しみ続け、学び続け、愛し続けられるように、と音楽教室を開いている。

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