Vol.9 とっ散らかった =「多彩」な音楽活動 with佐藤公哉さん

ちか

私は今、長野県の四賀村にお邪魔しております。
今日のゲストは佐藤公哉さん。

きみや

こんにちは。よろしくお願いします。

ちか

よろしくお願いします。
キミヤさんの自己紹介をお願いしてもいいですか。

きみや

佐藤公哉(さとう・きみや)といって、音楽家をやっています。
作曲や演奏は歌やバイオリン、ビオラと打楽器などをやっています。
他の楽器もちょっとやったりします。
あとは、もうすでにゲストとして出演した権頭真由(妻)と一緒に音楽活動やっていて、そのレコーディングやミキシング、マスタリングなんかもやったりしています。

ちか

ありがとうございます。
すっごい何でもできますね。

祝い歌に感動して始まったMIKUSA BAND

ちか

最近で言うと、あの話を聞きたいんですよ。

きみや

MIKUSA BAND(ミクサバンド)?

ちか

ミクサって読むんですか。
あれはどういう意味なんですか?

きみや

ミクサっていう言葉は、「草」がまず「民草」とか庶民的な意味の「草」で、それに尊敬語の「御」の「み」ですね。
その「ミクサ」っていう言葉を友人の素晴らしいミュージシャンに教えてもらって、それが気に入ってつけたんです。
2015年に新潟の十日町市っていうところで地元の人が歌い継いでいる祝い歌を教えてもらって、それに感動したのがきっかけで、色々機会をいただくごとに出かけた先で、いわゆる伝承歌とか郷土芸能を教えてもらったり稽古に参加させてもらったりとかして、それを元に音楽を作っていくっていう活動をし始めて、それをアウトプットする時に今バンド編成でやることが多くて、バンドに「MIKUSA BAND」っていう風に名前をつけてやっています。

ちか

多分、今日初めてこの話を聞いた人は、頭でも想像できてないと思うんですよ。この言葉だけで。
私もキミヤさんのことは知っていても、このMIKUSA BAND見た時の衝撃と感動がすごかったんですね。
それをどんなふうに皆さんにこのラジオでお伝えできるかなって考えてるんですけど、初めて出会った時の「祝い歌」どんな歌か、歌っていただくことってできますか?
急にごめんなさい。

きみや

いやいや、大丈夫です。
じゃ新潟県の十日町市で僕が教わった祝い歌で「天神囃子(てんじんばやし)」っていう歌を。

アカペラ生演奏
(音声ラジオで聴くことができます。このページいちばん下のリンクよりぜひ聴いてみてください)

ちか

ありがとうございます!(パチパチパチ!)

きみや

ありがとうございます。
ちょっといきなりだったんで、あんまりいい声出なかったですけど。

ちか

すみません、急に。(パチパチパチ!)
なんか楽器ですね、キミヤさんって。
振動と、人の体からこんなに音が出るんですね。

きみや

いや、とんでもない。
でもこの歌は、民謡歌手とかちゃんと 音楽をやってる人が歌う歌とかでは全然なくて、上手かろうが下手かろうが地元の人がお祝い事の折々に歌い継いできた歌で、それがやっぱり素晴らしくて、それに感動して教わったんです。

ちか

歌っていただきたかったのはMIKUSA BANDのことに繋げたいんだけど、こういう昔から伝わる歌にリズムが加わったりとかダンスが加わったり。
あれはウッドベースですか?

きみや

そうですね、ウッドベース。

ちか

ウッドベースとドラム?いろんな太鼓みたいなのが入ってますよね。

きみや

そうですね、締め太鼓みたいのを荒井康太くんって素晴らしいドラマーが、全体のこの企画を「MIKUSA PROJECT」って呼んでるんですけど、それを一緒にやってくれるようになってから彼はすごい色々研究してくれて、自作で締め太鼓も結構いくつも作ってて、それをドラムセットの中の結構キーマンとして締め太鼓を使ってました。

ちか

じゃ、あれなんだろう!って思う感じのは、やっぱどこにもない彼が作ったものなんですね。

きみや

そうですね。

ちか

キミヤさんも途中で太鼓ちょっと叩いてたよね。

きみや

はい、僕も自分で作った締め太鼓、結構同じような構造のものを。

ちか

雰囲気もすごく良かったんですよね。
会場入った時の感じと、子供たちもいて、あったかーい空気で。
で、PAの方かな?裏方の人もすごいいい感じで、お客さんとその裏方の人と演者さんと、みんながもう 本当にあの空間を作ってて、それももうすごくなんかジーンときたんですよ。

きみや

それは嬉しいですね。
やっぱり地元のこの四賀村で地道に活動してきて、四賀村のいろんなコミュニティの繋がりもあって、すごいサポートしてくれる人もたくさんいてっていう環境があるのと、あと今年も同じ会場でやるんですけど(11/23に開催されました)、ヴィオパーク劇場っていう手作りの丸太の柱を持ってきて舞踏の方が作った建物なんですけど、仲間たちと友達の大工さんとで、本当にみんなで手作りして立てた空間みたいな、あの場の力がやっぱりすごい。

ちか

そういう(演奏する)場も、選ぶとき大事にしてるんですか?

きみや

そうですね、やっぱり大事にはしてます。
公演を見てくれたヴィオパーク劇場と、あと今日さっきランチをいただいてきた古民家カフェのKAJIYAさんとかは、最初にこの四賀村に訪れた時に友人の紹介で訪れて、やっぱり場所の力強さに結構衝撃を受けて、もう四賀村すごいとこだなって。
その2軒建物見ただけでも、四賀村すごいところだなって思った。

もともとは画家志望だった

ちか

私がキミヤさんにすごくお聞きしたかったのが、もともと画家志望だったじゃない?

きみや

はい、そうです。

ちか

どんな絵を描いてたんですか?

きみや

もちろん画家志望で絵の勉強をしてたんですけど。

ちか

その時は美大に一度入ったりしたんですか?

きみや

いや、美大を最初目指していて、高校から現役の時とかは一応油絵の方で受験して、でも現役では落ちて、浪人中に方向転換しちゃった感じ。

ちか

急に?何かきっかけが?

きみや

ちょっとアホっぽい話なんですけど、浪人中地元の北海道に帰って実家が岩見沢っていう札幌のベッドタウンみたいなとこなんですけど、毎日札幌に通って予ゼミで学科の勉強して、その後美術の予備校に行って絵の勉強するっていう生活をしてたんです。
でも高校が体育会系のノリの自由学園っていう私立のちょっとおもしろいところに行っていて、 すごい体を動かす機会が多いところなんですけど、浪人中の生活ですごい運動不足な感じになってきて、もし画家になれたとしてなんかずっと絵描いてるの違うかもなって思い始めて、自分はもっと体を使うことやりたいなって思ったんですよね。

かと言って、いきなり「じゃあ音楽だ」ってなったわけでもなくて、単純に分からなくなったんですよね。
ずっと小さい頃から画家になるって言ってて、絵を描くのが本当に好きでずっと自分で絵を描いていて、高校の時とか夏休みに夏期講習の美術の予備校に行ったりとか、そんな感じでやってたんですけど、浪人中勉強して絵描いてっていう生活をずっとしてたら、体を使えてないことが溜まってきちゃって。

ちか

19歳?

きみや

18とかかな?
それでちょっと分かんなくなってきて。
音楽は好きだったんで、高校の時に遊びでコピバンとかやったりしてて。
浪人中も宅録みたいなことをちょっとやってた。

ちか

タクロクって何?
家で録音ってこと?

きみや

そうですね。
でもそれはほんと遊びっていうか、受験の勉強の気分転換ぐらいな感じでやってたんですけど。
浪人の夏ぐらいの時に、絵に集中してやってくっていうのがもしかしたら違うかもなって思い始めて。

色んなことできそうな学科に入って、色んなことやる音楽家になった

きみや

それでちょうどそのタイミングで、僕が行った芸大の「音楽環境創造科」っていう学科が新しくできて、そこの募集要項みたいなのを友達に教えてもらって、それを見たらなんかすごいおもしろそうだったんですよね。
なんでもできそうっていうか、多分「科」としてできたばっかりでまだ全然整ってなかったんですけど、それがまた良くて。
ちょっとカオティックな状況で、作曲の先生もいればマネジメントとか舞台芸術の先生がいたり、録音とか音響技術の先生がいたりっていう感じだった。
すごい色んなことができそうな感じで「ここなんかおもしろいな」みたいになってきて、浪人の夏ぐらいにその音楽環境創造科っていう学科を目指し始めたんです。

ちか

で、今に至る?

きみや

うん、今に至るんですね。
その大学に入ってからほんと色んなことをやって、ストレートに音楽に進んだって感じでは全然なくて、色んなことをやってるうちにだんだん割と普通に作曲して演奏するみたいな方向に。

ちか

でも音楽家として職業として生きていけるって、やっぱり一握りっていうか、なりたくてなれるものなんですか?なれないんじゃないかなって。

きみや

でも種類がやっぱり音楽家って一口で言っても多分本当に色んな種類があって、仕事の仕方も生き方も全然多分違うんですよね。
だから、なんとも言えないですね。
僕はまだこう定まってないままやってる感じは結構すごいしてて。

ちか

そうですか〜?

きみや

うん、なんかとっ散らかってるとこがすごくある。

ちか

私は多彩だなと、とっ散らかってるとかは全然なくて。
毎回会うといろんな切り口があって、びっくりするんですよ。
キミヤさんってお会いするたびに。
もっと身体的なアーティストなのかな〜と思っていたら、家族で遊びに来た時にミキシングっていうんですか?こういうこともするんだ!って、パソコンに向かって編集したりとか、あれも意外だったんですよね。
プレイヤーとしても、いきなり子供たちと音で遊んだりしてくれるし。

でも「星の王子さま」観た時、あんな歌を歌うキミヤさん初めてあの時観たから、あの大きな舞台で。
私、松本で観たのかな。
それで阿部海太郎さんが音楽監督だったのかな。

きみや

音楽監督というか、音楽も作曲は基本的に海太郎さん。

ちか

そっか、それで坂本美雨さんが歌ったり、ダンスをあの若いダンサーの。

ちか

そう、結構豪華な、会場もすごく大きくて。
あれマイク使ってたんですか?

きみや

もちろん!

ちか

そうですよね。でも、歌だけじゃなかったでしょう。

きみや

もうバカみたいにいろんな楽器やってましたね(笑)。

ちか

すごかったよね!
私、あの時に「キミヤさん、これもやるの?これもやるの?」って、すごいなぁって。
知らなかったから、会うたびに知らないことがいっぱいあって。

あ、そうだ!昔コシラエルのパジャマのモデルもしてくださったんだよね。
それでマユちゃん(奥さん)とうちに泊まった時に、朝起きてキミヤさんがチベット体操してたのね。
あれもなんかすごい印象的で、私も真似したいなと思って全然続かないです。
キミヤさん、毎朝やられてる?

きみや

まあ、できるときはですね。

ちか

でも、もう何年もやられてるでしょう?

きみや

そうですね。

ちか

そういうちょっとずつキミヤさんっていう山を、いろんな角度から見て切り崩していくといろんな断面が見えてきて、もう毎回なんか すごいなと思ってます。
何の話したかったのかな(笑)。

昔の人が持っていたグルーブ感のようなものを創りたい

ちか

キミヤさん、最近ハマってることとかあるんですか?

きみや

最近ハマってることですね。
ちょっと前までハマってるドラマがあって、Amazonプライムで「バビロン・ベルリン」っていうドラマを見てて、それにすごいハマってました。

ちか

キミヤさんがドラマを見るんだ!って、今、私思ったよ!

きみや

そうそうそう(笑)、ドラマなんて普段はそんな見ないですけど、すっっっごいおもしろくて。

ちか

見てみようかな。

きみや

見てみてください。
刑事ものでサスペンスとかで結構暴力シーンとかもあったりするんで、怖いかもしれないんですけど。
1920年代のベルリンが舞台で、その時代の再現とかがすごい、多分。
僕は詳しいわけじゃないんで、その再現が実際に すごいかどうか分かんないですけど、でも見てて本当すごいなと思って、建物とかファッションとか車とか。
で、音楽がすっごいおもしろくて。

それで、クラブっていうかお酒出してライブステージがあって、みんなダンスホールがあってみたいな、 そういうシーンが結構出てくるんです。
よく出てくるお店が3軒ぐらいあって、結構おっきいしっかりしたお店とか、ちっちゃいバーでピアノだけでみんな踊ってるみたいなところとか。
そういうダンスホール的なシーンがどれもすごい良くて、その音楽も踊ってる人たちとかお酒飲んだ人たちの雰囲気とかも良くて、「ちょっとこういうのやりたいな」っていうのがすごいちょっとインスピレーションとしてあって。

MIKUSA PROJECTも僕は基本的に音楽を創って、去年から四賀村に大宮大奨(おおみや・だいすけ)くんっていう本当素晴らしいダンサーが、首都圏の方から移住してきてくれて彼も一緒に色々やってもらっていて、その大宮大奨くんと鈴木彩華(すずき・あやか)さんっていう、主にその2人のダンサーと一緒にやらせてもらうことが多くて、MIKUSA BANDとダンスっていうのを去年からちょっとやっていて、今年も一緒にやるんですけど、 次の展開みたいなのを考えた時にもっと集まった人が踊れるダンスがあったりとか。

去年も輪踊りみたいなワークショップやって、やってもらったじゃないですか。
MIKUSA BANDで結構メインにやってるようなリズムがしっかりあるような音楽でも、みんなで踊れる踊りみたいなのをちょっと創ってみたいなって思ったり。

ちか

日本人ってフリーダンスすごい不得意じゃない?

きみや

音楽もそうですよね。
自由に適当にやってって言われたら、できない人がやっぱり多いですね、格段に。
多分、他の国の人よりできないと思いますね。

ちか

本当は踊りたいような気もするの。
そういう踊りの文化ってなかなか型がありすぎちゃって、日舞とかもそうだけど、でもその型のおもしろさっていうのもあるんだけど。
ベルリンとかクラブ文化もあるじゃない。
1920年代からもしかしたら脈々とあったのかもしれないね。

きみや

そうですね、ずーっとあるんでしょうね。

MIKUSA PROJECTとは郷土芸能とか伝承歌とかをとっかかりに、昔の人が持っていたグルーブ感というかそのリズム感、土を踏む感触だとか、あとはコミュニティーの雰囲気みたいなものとかを、郷土芸能 を習ったりすることによって自分の中に引き寄せて、それを元に創作をしていくっていうことをやってるんです。
でもやっぱり昔の社会の方が当たり前っちゃ当たり前なのかもしれないですけど、 身体的な他者との繋がりみたいなものが、もうちょっと現実味を持ってあったような感じがすごいするというか。

そういう空間を、ちょっとずつもうちょっと自分の音楽の周りに創れるようにはなりたいって思っていて、そういうところに1920年代のベルリンのダンスホールの雰囲気とかリンクしたのかもしれないなと。

ちか

私がなんであそこでMIKUSA BANDOの感動があったんだろう?って思うと、なかなか言葉で伝えられないし、どんな音楽っていうのも誰か誘いたい時に言葉でできない難しさがあって。
でも、それでいいんじゃないかなって思っていて。
そのぐらいの曖昧さの良さっていうか、きっちり言葉で言えない良さみたいなのが、すごいそこが魅力なのかもと思ったりしました。

キミヤさんは、他にも色々やられてるんですよね。

きみや

その時々でマユと一緒に3日満月でやる時は、結構バイオリンを弾いたりして、アコーディオンとバイオリンの曲がメイン。歌の曲もあるんですけど。

ちか

私のアトリエ来てくれた時に、温室に入ろうとしたらバイオリンの練習してて、もうあれがすごい素敵だった!

きみや

ありがとうございます。
ていうか、あのアトリエはほんとにヤバいですね。

ちか

いやいや、あそこでもなんかできたらいいね。

地に足ついてたり浮いてたり、夫婦で持ちつ持たれつ

ちか

キミヤさん、容姿端麗ってよく言われるでしょう。聡明だし。
突っつきどころがないような気がするんだけど、でも話しやすいじゃない?

いつもマユちゃんと話してても、 意外と逆なんじゃないかなって会うたびに思ってきたことがあって。
マユちゃんの方がちょっとふわっとした世界にいて、キミヤさんの方が逆にすごく地に足がついているのではないかって最近逆に思ってきたりしてて。
前は逆な印象だったの。

マユちゃんがさっきも話してくれたんだけど、「キミヤはおもしろいんだけどね、地球のこととかよく知ってるの」って言って、「あのね、海がなぜしょっぱいかを知ってるの」って言って、「海がなぜしょっぱいかって説明できないじゃない?」「ほんとそうだね」って言って。
その会話もおもしろい夫婦だなって私は思うんだけど。

このラジオは生活芸術みたいなざっくりとした広い意味で、生活自体が芸術品みたいな気がするの。
何気ないこと、生活、生きてること自体がね。

でもそういう意味もあるんだけど、まさに芸術家2人が生活しているこの空間とかにもすごい私は興味があるし、2人が日頃どんな会話をしているかとか気になるし、今回はその海がなぜしょっぱいかを説明できるキミヤさんっていうのが、 今日の収穫だった(笑)。
どう思います?夫婦間で。

きみや

お互い多分、その足がついてるとことついてないとこがやっぱあって。 多分、踏んでる場所がやっぱ違うというか。
踏んでるとこと浮いてるとこはやっぱ違うから、やっぱ持ちつ持たれつじゃないですけど。

ちか

素敵なカップルだなっていつも思ってて。
多分知り合ってからは10年近くなると思うんだけど、毎回新しい発見があるなと思っていて。
キミヤさんのやられてる音楽のことも、全然本当氷山の一角しか見てないんだなって思っていて。

きみや

いや、ほんとにスタイルに差があって(笑)

ちか

でもそれが全部キミヤさんだと思う。

私も色んな絵を描くから、コラージュしたりペイントしたり、あんまり具体的なものは描かないんだけど、配色具合とかタッチとかも色々あって、 でも結局全部私なんだよね。
引き出しが私の中でも、可愛いのが好きだったりかっこいいのが好きだったり、ヘンチクリなのが好きだったりとか色々あるんだけど、作風とかなくて、全部本当に私そのまま出してるのは本当にそれだけで、それ以下もなくてそれ以上もなくてっていう感じで。

今後も楽しみにしております。

きみや

いや、こちらこそです。

私どうしたらいいですか?(笑)

きみや

チカさんはコシラシエルをやめて、今、展開はなんかある?

ちか

そう〜。だから絵がとにかく描きたいと思っていて。
キミヤさんに色々聞きたいなと思ってて、絵のことについて。

絵って音楽と一緒にしていいのか悪いのか、言葉にできないものとかもすごいあって。
なんでラジオをしたかっていうと、聞きたい人に話を聞きたいっていうのが、ただ絵を描いてるだけでもなんか違う気がするんですよね。

絵の具作ってるわけでもないし、やっぱり市販の絵の具買って市販の筆で描いて、そりゃすごく絵が上手い下手みたいなのあるけど、何かを込めれるものってやっぱほとんどが紙と画材っていうものはの占めは大きくて、人間の手で描くっていうものの範囲。
ちょっと伝わるか分かんないんだけど。

っていうよりも、なんかもっと自分をどう入れられるかとか、見えないものが描けるかとか、それをするためにはどうしたらいいんだろうとか、あと絵の具を作りたいとか、筆を今作ったりしてるんだけど、1個ずつ。
そういうことに興味があって、何かを描くっていうことよりも何で描くかとか、どういう自分のエネルギーで描くかとか、そこになんか興味が出てきて。

ラジオは教えてほしいつもりで始めたの。
先生って言っちゃうと恐縮しちゃうだろうなと思って、そういう言い方はゲストの方にしてないんだけど、なんか教えてほしいとかこの人に聞きたいとか、興味ある人に「私、どうしたらいいですかね?」ってほんとは相談をしたい感じで(笑)。

だから、ほんとにコシラエルやめてどうしよう??っていう感じなんですよ。
長くても2年ぐらいはちょっと続けて、人間観察プラス自分観察みたいなのをちょっとしてみようかなっていう、ちょっとした実験的な試みかな。
私どうしたらいいですか?佐藤先生(笑)。

きみや

いや、それはもう個展の日取りを決めちゃうのが1番じゃないですか。
場所と日取りを。

ちか

えー!そっか〜〜〜!

きみや

僕はそんな気がちょっとしますけど。
今でもそうなのかもしれないですけど、やっぱりライブとかの予定がなかったりすると、どんどん落ちてっちゃうというか。

ちか

いや、今すっごい、、、なんかドン!ってきた。
そう、いくら準備しててもね。。
キミヤさん、ポンポンポンって決めちゃう?とりあえず、決めちゃう?

きみや

もうほとんど今はサイクルみたいになっていることが結構多いから、 特にすごい悩んでやったりはしてないですけどね。

ちか

なんかちょっと怖いのかも、自分が絵描きですっていうのが怖いんだと思う。
絵描きなのかな?みたいな。
だからその肩書きがちょっと大きいのかも、画業みたいなのって。
今 そういうお仕事をいただいてやっているけれども、やっぱり画家ってもっと命がけで「モディリアニの生涯」とか見てると私なんてもうちっぽけすぎて、そんな「絵描いてます」なんて言えないような気もするし。
大きく捉えすぎてる部分もあって、ちょっと怖いのかもしれない。

裾野の広さが文化芸術の土台になる

きみや

でも、僕もたまにそう思う時あるんですけど、やっぱり。
本当にとてつもない天才みたいな人、やっぱ音楽の世界にたくさんいるし。
でも最近思うのは、本当にものすごい才能とものすごい努力でもって、とてつもないクオリティを叩きつけてくる人ってのはもちろんいて、そういう芸術が素晴らしいっていうのはもちろんあるんですけど、そこにやっぱり気持ちが集約していっちゃうのは、芸術全般とか文化全般にとって良くないんだなってすごい思っていて。

裾野の広さがやっぱり文化芸術の土台になるっていう話はあって、プロとかで全然ないけど、ある程度経験と知識があってその分野を愛してるみたいな人たちの数によって、突出した才能がどのくらい世に出せるかっていうのも、決まってくるというか。
だから、すごい人がいてその人をサポートする環境があってその人が売れてるとかいうだけだと、芸術の世界で豊かにならないですよね。
絵なら絵、音楽なら音楽、踊りなら踊りとかに対して、本当に色んなタイプの人が色んな関わり方をすることが重要なんだなっていう風に、最近やっぱすごい思っていて。

僕もトップレベルのプロフェッショナルにすごい憧れるっていうのももちろんあるし、自分もどんどん高いクオリティを目指してもちろん努力はしてるんですけど、そこだけに囚われちゃ本当ダメだなと思って。
やっぱりちょっと興味があるぐらいの人といろんなメソッドをシェアしたりとか、 ワークショップとかって僕も別にそんな積極的にやってるわけじゃないし、もちろん依頼があればどんどんやるんですけど、すごい好きってわけでも別にないっちゃないんですけど、でもすごいやっぱり重要だなって思ってて。

いろんな芸術分野に対していろんな立場の人が本当にちょっとコミットするだけでも、それってすごい大切なことなんだなと思っていて。

ちか

あと憧れもあると思うの。
歌とか踊りって何も使わず 身体1つで表現できることっていうこと。
じゃないから、絵を描くって。
やっぱ物ができちゃうっていう、 その「モノ」になっちゃうんですよね。
そこに1人しか所有できなくて1つの価値がつけられて、美術館とかに入ればまた別の話なんだけど、そのあり方自体にももうちょっと違うやり方ができないんだろうかとか、色々考えすぎちゃうんですよね。
でもとにかく描くことが好きだからそれに絡まっちゃう感じがあるんだけど、少しほどけた気もして。

今、茶道を始めたんだけど、ちょうど一昨日見た映画が「お茶はもう形からよ」って言ってて、ちょっと話はずれるかもだけど形を作った後に心が入ってくるみたいに言ってて、ちょっとずれてるかもだけど、まずもう日にちと場所決めちゃってっていうやり方もありかもしれないね。

きみや

それはね、本当にいいと思います。

ちか

今まではイケイケゴーゴーみたいな感じだったんだけど、最近はもうちょっと熟成させなきゃとか醸すものが必要とか、年月かけてできるその良さみたいなのを追求してみたいとか思うこともあったりもして。
ちょっと勢いを自分で止めてたのかもしれない。
ありがとうございます。そんな言ってくださって。

1月に松本で公演やります

ちか

そろそろ時間になったんだけど、 近々お知らせとかありますか?キミヤさんの音楽が体感できること。

きみや

2024年1月8日の月祝かな。
松本の信毎メディアガーデンというスペースがあるんですけども、そこで僕が主催しているMIKUSA PROJECTの公演を。

MIKUSA MEETINGー 郷土芸能とクリエイション/わたしたちが手繰る温故知新のかたち ー

ちか

おっ!皆さんぜひ、長野とか諏訪県内の人はぜひ。
これを聞いたってことはご縁なので行きましょう!!!

きみや

あと、MIKUSA PROJECTの方でアルバムのレコーディングもしています。

ちか

わー、楽しみ!

きみや

リリースは自体はもう年明け以降になると思うんですけれども、もしかしたらこのラジオの放送ぐらいには1曲ぐらい挿入でいけるかもしれないな。

ちか

おおお!(パチパチパチ!!!)
録音したらまた違う感じになるんですかね。

きみや

そうですね。

ちか

何回か録ることもできるだろうけど、全員で録るってことでしょう。

きみや

土台になるバンドはいっせーので録っています。

ちか

楽しみです!
これからも続けていって、来年もいくつか公演とかがありそうな感じなんですか?

きみや

あると思います。

ちか

そういうキミヤさんの音楽活動を見るサイトがありますよね。

きみや

あります。「Torus Vil.(トーラスヴィレッジ)」という屋号では今色んな活動をしていまして、トーラスヴィレッジのウェブサイトがあるので。

ちか

キミヤさんのプロフィールのところにリンクを貼っているので、皆さんぜひご覧ください。

きみや

ありがとうございます。

ちか

あー、なんか、ありがとうございます。
良かった、お話できて。
今日のゲストは音楽家の佐藤公哉さんでした。

きみや

ありがとうございました〜

佐藤 公哉(さとう・きみや)

北海道生まれの音楽家・作曲家。シュルレアリスムの影響から幼少より画家を志し、後に音楽へ転向。
祖母の詩吟、お寺の読経や賛美歌などを原体験とする声楽は歌唱とボイスパフォーマンスの双方で高い評価を得る。
ヴァイオリン、ビオラ、ハルモニウム、パーカッションなどを奏するマルチプレイヤーでもある。様々な地域性/時代性の入り交じる室内楽を得意とし、クラシック、ポップス、ジャズ、ペルシャ音楽、ブラジル音楽、アフリカ音楽、雅楽などの音楽家と共演。
映画音楽、舞台音楽、地域に密着したプロジェクトも手がける。
子供たちとのワークショップ「音のてらこや」や、ネットワーク「Torus Vil.」を主催。
主な所属グループはバンド「表現(Hyogen)」、デュオ「3日満月」など。2017年よりソロ・パフォーマンスを開始。東京藝術大学音楽環境創造科卒業。

Torus Vil. WEB site
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