三日月と五線譜


夕食をすませて、あんこ(犬)の散歩に出た。

細くしっとりと光る美しい三日月がいて、昔は満月信仰心みたいなのがあったけど、今は欠けてる美しさに惹かれる。

三日月にやけに惹かれる私がいる。秋になり夕方の散歩でもすっかり暗くなってきて、もう星も拝める。

日没後は山へ行くのは少しだけ怖いので、山道を下ると集落があり、そのあたりは伝統もあるので、今日はそのコースにした。

見上げると電線がある。その向こうには星がある。電線で五線譜みたいに見えて星が音符みたいだ。

「五線譜」って言葉というか存在って素敵だよね。シンプルで堂々としてて、頼り甲斐があって繊細で。5本の線の上で奏でる音色は、他の誰かと共有できるからまたすごい。絵に譜面はない。でも描いている時、奏でているのと同じような気分になることがある。ピアノの稽古は全然真面目にやってこなかったし、もう全然弾けないけど、音と色は似てる気がする時がある。

私よりも背の高いコスモスを横目に裸足で歩きたくなり、靴を脱ぐ。小さな石ころが私を挿す。

コンクリートには昼間の暖かさが少し残ってて、 土、草は少し湿っている。

動物の糞、虫、毛虫 危ない虫とか怪我とか。。。なんて考え出すと不安になるけど、目の前のあんこが、迷いなくもちろん靴も履かずに進む姿に引っ張られる。こんな些細なことは、生きてる〜と感じれるから一人時間は自由で面白い。

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